【人形のような瞳】


「君の瞳は人形のようだね」

 ガラス容器をつつと撫でながらギリアムは言う。
 これはどういう意味なのだろう。褒めているのか、貶しているのか。

「綺麗だよ」

 彼の手の中の容器が微かに揺れて、小さな気泡が三粒ほど上がった。
 どうやら彼なりの褒め言葉らしい。それならまあ、いいか。

「まあ」

 彼のたれ気味の瞳が、可笑し気に緩く弧を描く。

「人形ではなく、死体なのだけれどね」

 私の目玉だけはそんな彼の事を二つ、ガラス越しに見つめていた。





back






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -