*001/003同主人公。
【なんて綺麗に光る雫】
ぽつぽつぽつ。一粒二粒三粒。頬へ落つるは、燃える炎のように橙に染まった瞳には不釣り合い過ぎる透明な雫。
「ギリアム様」
なんて綺麗な物だろう。彼の頬を流れるそれに手を伸ばしかけ、そして、止めた。
「なに」
彼の目は、明らかにそれを求めていたから。
「……いえ、なんでも」
与えられぬ物を中途半端に押し付けるのは、とても残酷なことだ。あまりに非道すぎて、非道としか言えぬ組織に属している癖に、こちらまで泣きそうになってくる。
「そう」
だから私は、口も閉ざした。何故泣いているのか、なんて泣く理由なら泣ける程にある彼に聞くのも、酷な事だろうから。
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