【木の枝に二人。】
「ねえ、京介」
「なんだい?」
木の枝に二人座ってしばし静かにおとなしく。気のついたら、また日が昇っていた。
「なんで、私まで撃たれたのだろうね」
朝日に橙に輝く薄い糸を撫でて、問う。私もやっぱり貴方と違ってただの普通人だったのに。問いつつ、思い出す。昨日の夕焼けの中でも彼の髪は、この様な色をしていた。
「さあね、もう本人も居ないし分からないよ」
返事は、今までに何度も聞いたそれと同じもの。だけどね私は知っているのよ。私を撃ったあの人を屠った貴方がそれを知っていること、知っているの。
「そっか」
でも、言いたくないのなら言わなくていいの。ただ、傍に居てさえくれればそれだけで。
← →
back