【今後】
「さて、私はもう寝るが」
コレをシャワールームに入れて、私も入って。時は既に就寝時刻だ。
「では、わたしがそのあいだは……」
しかしそんな時間でも私はこの道具を宥めなければならないらしい。
「いや、ナマエ、お前も寝るように」
寝ずの警護をしようと言うのか。無理だ、無理。先ほどからウトウトと頭を上下に揺らしているというのに。大人しく、不本意ながら隣へ設置済みのベッドへと入ってもらいたい。
「でもお守りしなくては」
今、私はお前のお守りをしているがな。私は明日も早いんだ、さっさと寝てくれ。
「明日の朝、黒い幽霊様がお呼びだ」
「はい」
そう、主にこの件で早い。黒い幽霊様も黒い幽霊様だ。何故朝っぱらから。どうせなら午後にしてくださればいいのに。私は寝たい。とても寝たい。
「寝ぼけ眼で主人と顔を合わせるつもりか」
「でも……」
しかもこの様子だと、恐らく朝にコレを起こす必要がある。これにもまた時間がかかりそうだ。なんて面倒な。
「どうせ寝不足では何の役にも立たん」
「…………」
……だからこちらを見上げるな。目を合わせるな。子供の目は嫌いだ。甘ったれた、自らの感情をそのままに表した目だ。私達大人の様に隠すことを知らないのだ。道具なのだから、もっと無機質な目をしていればいいというのに。
「……何かあれば起きればいい」
「……わかりました」
これでやっとベッドへ行ってくれた。それでもしぶしぶとだが。何故、この私が、こんな道具を、わざわざ宥めすかさなければいけないのだ。少なくとも彼女のテスト期間が終わるまでこんな生活が続くのかと思うと、ため息が出る。
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