【新居に二人。】


「ねえ、京介」
「なんだい」

 久しぶりの問答な気がした。

「貴方、背、伸びていないのでなくて?」
「ああ、うん、そうだよ」

 彼の背丈は3年前のあの時から、何も変わっていなかった。新居の蛍光灯が15の姿を影に落とす。

「どうして?」
「僕にも良くわからないけれど、きっと無意識での事さ」

 無意識。そういえば彼は無意識に能力で早い成長を遂げていた時があった。きっとそれと同じで、今の彼の体は無意識の元で静止しているのだろう。

「そうなの」

 彼は、あの人を置いて大人にはなりたくないのか。

「うん」
「いいわね」

 私は、貴方を置いて老いてしまうというのに。

「そう?」
「だって私だって女子ですもの」
「ああ、なるほど」

 でも永遠に美しい貴方を隣で見ているのも、悪いことでは無いと思う。





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