第一部 [24/32]


「おいおい、大丈夫かよ。後で気持ち悪くなっても知らねえからな」
既に日が暮れ、いつもと同じ居酒屋に来ていた一角たち。



かんろの目の前には注文した飯がずらりと並び、彼女の隣に座る恋次はかんろの腹の心配をしていた。

「美味しそうに食べているからいいじゃない」
「そうだよ。かんろの食べる姿は美しいから野暮なことは言わないもんだよ」
「あら、珍しく気が合うわね弓親」
ふたりの前に座る乱菊と弓親は、それぞれ楽しそうにかんろの目の前の料理が消えていくのを見ていた。


「一角さん大丈夫っすか?かんろのやつ結構食ってますけど…」
『今回だけご飯おごってくれるって言ってくれましたよ。男に二言なんてないんだから大丈夫に決まってるじゃないですかー』
一角の財布事情をも気にする恋次に、もごもごと口を動かしながらかんろが言った。
弓親たちの奥でこちらに背を向けながら横になっている一角は、気にするなとでも言うように手をひらひら動かしていた。



『あ、おねーさん!卵焼きとご飯のおかわりお願いします!あと野菜炒めも!』
「ほんとよく食べるわね」
かんろににっこり笑いかければ、乱菊の目の前にすっと箸が伸びた。

『乱菊さんも食べます?コレ、美味しいですよ!』
驚いた乱菊だが、かんろからのその行為を嬉しく感じて、差し出された煮物をぱくりと食べた。

『美味しいですよね』
満面の笑みとはこの事を言うのか。
差し出した煮物を食べた乱菊も見てかんろはにっこり笑った。


「あーもう!可愛いわね!!」
「うおっと」
ガバッと目の前のかんろを抱きしめようと机にのめり込む乱菊。
机の上のものがこぼれないようにと、恋次は咄嗟に皿や飲み物を持ち上げていた。

『乱菊さん?』
「あんたうちの隊に来なさいよ!」
『やですよー。自分十一番隊以外興味ないですもん』
引き寄せられて抱きしめられたかと思えば、バッと離れて自分の隊に勧誘する乱菊に、かんろは恋次の手の中の料理を食べながら答えた。


「ちぇー、十一番隊のどこがいいのよ、男ばっかで汗臭いじゃない」
ぐいっと酒を飲みながら尋ねた乱菊の言葉に、かんろはきょとんとした後に、かっこいいから、とだけ答えて先ほど注文した料理を食べ始めた。



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