第一部 [22/32]


5日が経った。
検査の日からは1週間になるだろう。
かんろの身体が戻る気配はなく、未だ成長を続けていた。

鍛錬をすればするほどつく筋肉が嬉しいのか、かんろは以前より稽古場にいるようになった。
それに比例するように、弓親との会話は必要最低限の内容だけになっていた。



事務処理もそこそこに、今日もかんろは稽古場に足を運んでいた。

『もう一回お願いします』
木刀をしっかりと握り直して、倒されたかんろは飛び上がる。
視線の先にいるのは一角で、長い時間木刀を打ち合っていたのか、上半身は裸で汗が浮いていた。

かんろは、いつものように死覇装の上着を襟巻きでたすきのようにしているのかと思いきや、一角と同じように上着を脱いでいた。
死覇装の下にはきちんとサラシを巻いている。

周りには既に一角にのされた隊員たちが転がっていた。
恋次は汗こそかいているが、稽古の順番がくるのを待っているのか、2人の様子を座りながら前のめりで見ていた。
しかし、この場に弓親の姿はない。



*****



木刀の打ち合う音が続いている。

手加減をされていると分かっていても、一角の剣を受けても立っていられるようになったかんろは、本当に楽しそうに打ち合いをしている。
その顔に釣られたのか、一角は口端を上げた。


「おらおらおら!!」
『っ!』
ダンっと力強く踏み込んで木刀を振るう一角の連続攻撃に、しばかりよろけてしまったが、どうにか持ちこたえるかんろ。

素早く一角の正面から移動すると、こちらを向いていない一角目掛けて力強く木刀を振り下ろした。
「あめぇ!!」
言うのが早いか、一角の隙を付いたと思ったかんろの剣筋は、振り返った一角の木刀によって止められてしまった。
それだけではない。
受け止めた木刀を素早く動かしてかんろの攻撃を受け流せば、すぐにその剣をかんろの頭めがけて振り下ろした。


「「!!?」」



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