第一部 [13/19]


「じゃあ行こうか」
シャルは広間に集まったメンバーを見て言った。最後に広間に来たフェイタンはどこか機嫌が良さそうだ。きっとノルが役に立たないと信じきっているのだ。新しいおもちゃとしてノルに拷問をしながら楽しむ気なのだろう。



目的地までは徒歩。と言ってもチンタラ歩いているわけじゃない。幻影旅団の彼らにしては苦にならないスピードで走っている。もちろんストップなどするはずない。一定のスピードで走りながら、シャルは今回の目的、作戦について話をしていく。

「今回の狙いは一冊の本だけ。警備も厳重じゃないから簡単なはずだよ。今回はノルのことをフェイタンが納得するかどうかっていう目的もあるからオレとフェイタンは補助ね。ノルはとりあえず好きに動いていいよ。ただし、向かってきた敵は全員殺すことね」


「話は変わるけどさ…」
シャルがノルを見る。頭の上から足の先までゆっくり見ていたシャルはノルの服について話しだした。
「その服って最初オレ達のところに来た時着ていた毛皮…だよね?前は剥ぎ取ったままの感じだったけど今は服になってるね」

機嫌良さそうなのと関係あったりするの?そう尋ねると、ノルは小さな笑顔をシャルナークに向けた。
『ノブとウヴォーが、マチに頼んで作ってくれていたの』
ノルの笑顔にも驚いたが、それよりも団員と仲良くなっていることに驚いた。マチに頼むなんて、後から法外な金を要求されるに決まっている。それなのにわざわざノルのために服を作ってもらうなんて気に入りすぎじゃないか?元々服の代わりに巻きつけていた毛皮を使って作ってもらったという服を見ながら、シャルナークはそんなことを感じていた。

ふわふわとしたショートパンツに足元にはレッグウォーマー、腕にはアームウォーマー、タンクトップのようになった上着。初め会った時よりも動きやすくなっている。

マチもよくやったなあと思いながらシャルは、フェイタンとノルを連れて目的地まで走った。




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