第一部 [11/19]


部屋を出たクロロが向かったのはシャルナークの部屋だった。ノックをして返事を待ってからドアを開ける。
沢山の液晶画面が並んでいる部屋。シャルナークは画面の前のキーボードを軽快に叩いていた。


「頼んだものは調べ終わったか?」
クロロの質問に対してシャルナークは印刷機から紙を取り上げて手渡した。
「警備はたいしたことないよ。戦闘についても同じだね。今いるメンバーなら2人行けば十分かな」

クロロが頼んでいたのは幻影旅団、盗賊としての仕事についてだ。今度のターゲットは図書。もちろんただの本ではない。世界にたった一冊しか存在しない本。とある有名な作家が執筆途中で他界したため、完成することのなかった原稿をたった一人の友人が見つけ、その友人が一人で絵をつけて製本したものだ。友情の本とも呼ばれているその本を狙っているのだ。


「シャルナークはフェイタンと一緒に行け。ノルも同行させる」
「え?あの子も?」
「ノルを旅団に入れる。欠番は無いが候補としてそばに置いておく」
シャルナークから受け取った紙をひと読みし、シャルナークを一瞥するとくるりとかかとを返して部屋を出た。
(…ついてこいってことかな)
クロロの言葉に多少驚きはしたが、団長として決めたことだろうし自分もノルのことは気になっている。特に反対するような理由もないのでクロロの後をついていくと、彼は奥の部屋に向かっていた。


(一番奥の部屋だとフェイタンの拷問部屋だよな…拷問、してたり?)
シャルナークの予想は顔からわかったのかクロロはクスと笑うと一番奥から一つ手前の部屋の扉を開けた。




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