第一部 [8/19]


「…というわけで、その子の世話は頼んだよ、ノブナガ。部屋から出すのは自由だけど、ノブナガのそばから離さないようにね」
クロロに団長として言われたからやらないわけにはいかないだろう。だが、念能力には興味あるが、ノルという少女自身には興味ない。ノブナガに世話を頼むと、返事を聞かずに部屋の扉を閉めて自室にこもった。

「っておい!!」
二人に頼まれた仕事を放棄されてしまってはたまったもんじゃない。ノブナガが呼び止めようとするが、シャルナークは聞く耳持たない。グチグチ言いながら振り返るとノルが心配そうに自分を見ていた。

部屋には再びノブナガとノルだけになる。
「ノルと言ったな、腹減ってねえか?」
気まずそうにしているノルに、ノブナガは声をかけながら手を引いて部屋を出た。
「まあ、お前が減ってなくても俺が減ってんだ。付き合え」



ノルの手を引いたままノブナガは広間にやってきた。マチとウヴォーギンしかいなかったことをノルはノブナガの後ろから顔をのぞかせて見た。クロロやフェイタンがいないところを見ると、若干安心したように息をついてノブナガと一緒に部屋に入った。



「お前のそばから離れるなって言われてんだ。お前もオレから勝手に離れるんじゃねぇぞ」
一応念を押してから、普段食べ物を置いている場所へ歩いていく。アジトにキッチンなんてものは必要ない。料理する人というか出来る人がいないことも関係しているが、自分たちは盗賊である幻影旅団だ、食べ物くらい奪うのは造作もない。

「あ!おい、どうしたんだ!!」
盗った酒や食べ物を置いているところで、どれを食べるか選んでいるノブナガが、ふとノルがいるであろう自分の後ろを振り向いた。ところがノルはノブナガの後ろではなく少し離れたところを駆けていた。ノルの向こうにはウヴォーギンがいる。

ウヴォーギンの目の前に駆け寄ったノルは、自分の身につけている毛皮をウヴォーギンに見せるように掴んだ。

『あなたも…魔獣の子?』
自分の毛皮と、ウヴォーギンの毛皮と野性的なその見た目から、何か近いものがあると感じたのか、ノルは疑問を口にしていた。

「お前ら親子みてえだな!ウヴォー!お前が世話したらどうだー!」
きょとんとするウヴォーとノルの二人を見ながら、ノブナガはお腹を抱えて笑っている。自分とノルが似たような格好をしていることの話をしていると理解したウヴォーギンは、ガハハと大きな口を開けて笑った。
「オレは魔獣の血なんか感じたことねえよ。お前面白いこと考えるな」




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