第一部 [7/19]


アジトに連れてこられた小さな少女は、窓のない薄暗い部屋にいた。ろうそくの灯りだけが頼りの部屋で、椅子の上に置かれた少女は、フェイタンに脅され、自分の姿を元に戻した。椅子に座る少女の後ろにはフェイタン、目の前にはクロロ、入口にはノブナガが立っている。毛皮を巾着のようにしていたマチの念糸はすでに消えていたので羽織るように身につけた。


「できれば手荒な真似はしたくないのだが…いい加減名前くらいは教えてくれないか?」
「ワタシたち気長じゃないよ」
少女に近寄りながらクロロが言うと、フェイタンの鋭く尖った爪が少女の首に細い線をつけた。
冷たい瞳で見つめる二人の視線を怖いくらい感じている少女は、決意したようにゴクリと唾を飲み込んで口を開いた。

《……名前はノル》
あまり聞かない言葉で伝える少女を見て、クロロは顎に手を当てた。
「ハンター文字を知らないのか?」
クロロの言葉に少女は少しわかると答えたので、とりあえずもう一度名前を聞いてから、今度は“白い悪魔”はノルのことなのか聞いてみることにした。こくんと頷く様子を見ると、あの噂は本当なのだろう。

『白い悪魔の魔獣の血、呪われてる』
ノルは少し眉間にしわを寄せ、ハンター文字で言いながら自分の尻尾を持ち上げた。ふわふわとしている柔らかそうな毛を生やした尻尾は狼や狐のようだ。
「…(魔獣との混血か)自分の念について教えてくれるか?」
『ネン…?』
「ウヴォーを木にしたりお前が小さくなったりしたあの力だ」

ノルはノブナガの言葉を聞いて、首をかしげたまま“チカラ”と小さく呟きながら少し考えた。
『…フェアリーテイル。話たくさんなる』
「ほう、フェアリーテイル…おとぎ話か。話がたくさんということは俺たちが見た他にもありそうだな。興味深い」
しばらく一緒にいてもらう。そう告げたクロロは、ノブナガに見張りを頼み、フェイタンを連れて部屋を出ていった。



**********


自分達のいる広間に戻ってきたクロロとフェイタンを見て、シャルナークは興味津々というように近寄った。
「団長、あの子は?どんな念だった?」
「ノルというそうだ。念についてはまだわからないことがあるからしばらく置いておく。衣食住と言葉の世話をしてやれ」
クロロの声に団員は驚く。事を知っているフェイタンは眉間のしわを深くしているだけで何も言わない。

「りょうーかい。じゃあ、世話役決めようか」
「今見張ってるノブナガでいいだろ。あたしはゴメンだよ」
「ワタシも嫌よ。この中じゃノブナガが適任ね」
嫌そうな顔をしながら言う団員。クロロは少し考えるとシャルナークに顔を向けた。
「シャル、お前とノブナガに任せる。念が旅団にとって得とわかった場合は戦力に入れたい。お前らなら懐かせられるだろう」



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