第一部 [6/19]


「俺を木にしたり、自分は小さくなったり変な能力だったな」
「変化系か特質系かな?あの能力は面白いね」
「団長はあの子をどうする気だと思う?」
ホームに帰ったウヴォーギン、シャルナーク、マチは広間で少女について話をしていた。



**********



アジトに帰るまでの間、フィンクスの腕の中の少女は、自分を誘拐している彼らで遊ぶかのようにいたずらをしていた。

ウヴォーの驚きの声とともに、ドサリと茂みに倒れる音。前を走っていたメンバーが振り返れば、ウヴォーの足が枯れ木のように変化してした。
しかし、ゆっくりとシャル近寄り、木になった足に触れようとするとスーっと元に戻ってしまう。
キョトンとするメンバーと、くすくすと笑うクロロ。彼は戻ったなら行くぞと言ってまた足を動かす。

さらに別のいたずらは、アジトの近くに来てから起こった。

「あ?」
怪訝そうなフィンクスの声。足は止めずに不思議そうに自分の抱えている少女を見た。
ゆっくりと左右にしっぽを振る彼女は、最初の時よりも小さく感じた。
「なあ、こいつ小さくね?」
「あ?気のせいだろ」
話しかけられたノブナガは、どうってことない顔をして返事をする。
自分の気のせいだと思ったフィンクスは、そのまま自分たちのアジトへと進んでいた。


少し経った頃、違和感を感じたフィンクスは、ばっと少女を抱えているはずの自分の腕を見る。しかしそこに少女の姿などなく、しまった、と思ったフィンクスは小さな舌打ちとともに足を止めた。
「やべえ、消えちまった!」
焦りと少しの苛立ちを含むその言葉に、周りに警戒しながら皆が集まる。


一方で、フィンクスの腕から抜け出した少女は、アジトに遅れてきていたフェイタンに捕まっていた。
腹が空いたので、小さな獣を捉えてそれを食べていた時に油断して捕まってしまったのだ。
「何者ね」
しっかりと握られた少女はその言葉に答えない。目の前の人物が苛立っていることは眉間を見ればわかる。
少しだけ、少女を握る手に力を入れたその時、彼を静止する声が届いた。

「来てたんだねフェイタン!あ、握りつぶるのはストップね、それ、今回のお宝だから」
飄々とするシャルにため息を一つついて、握っていた少女を投げる。受け止めたのはシャルではなく、後ろにいたウヴォー。
今度こそ逃げないようにと、少女が肩にかけていた毛皮を使い、マチが少女を捕らえておくための巾着袋を作った。




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