リストラ

この年の涼風がたち始めた頃、ここ数年の好景気から一転して冬の時代へ突入した。
そう、つまりバブル崩壊…。
今まで景気の良かった企業も無駄を止め、節約に務めざるえない経済状態となった。

僕の勤めていた店でも節約ムードが漂い始めた。
駐車場の照明の電球が何個が外され、店内でも万年つけっぱなしだったバックルームの照明も誰も居ない時は消灯するのが義務つけられた。
節約はこれだけでは終わらなかった。

人件費節約。
僕のシフトはみるみるうちに減らされ、以前、誘われていた契約社員の話も白紙になった。
僕の中では、それだけならまだしょうがないで済まされる話だった。

いつの間にか店での仕事がやり辛いものになっていた。
今にして思えば、景気が悪くなった以上、いつまでも将来性のない仕事を続けさせるのを不憫に感じた店長のある種の優しさだったと思うのだが、今まで任されていた仕事が急に任されなくなったりして、店にとって僕は居ても居なくてもいい存在に追いやられて行った。
俗にいう窓際族になった感じだった。

僕は手のひらを返したような扱い、雰囲気に耐えられずにこの年の冬、バイトを辞めた。

別に裏切られたなんて思いはしなかった。
でも今まで頑張って来た結果がこれなら、頑張らなくても一緒だという気持ちだけが強く残った。

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