バブル崩壊

この後の話をより解りやすくするために僕がメジャーデビューを志すまでの経緯を手短に書きたいと思います。
1992年4月、僕は高校卒業後、通信料ではあったが大学へ進学した。
これを機に高校時代からバイトしていた某ファミレスを辞めるつもりだった。
別に何か嫌なことがあるから辞めるとかではなく、大学生になったのだからもっと時給の良いバイトがしたかったからだ。
ところが店長の強い要望がありそのまま続けることになった。
僕は今までは皿洗い担当であったが、これを機にホールへ出て接客をすることになった。
僕が人と接する仕事をするなんて夢にも思ってなかった。
どちらかといえばおとなしい性格だし、人前で大きな声でハキハキ挨拶したりなんて大の苦手だった。
ところが実際にホールへ出て仕事をしてみると、意外にもこの接客という仕事が僕の性に合ってしまった。

この今まで出来ないと思っていたことが出来てしまったということは、僕の自信と労働意欲に火をつけた。
何よりも仕事が楽しくって仕方がなかった。
僕は店長へお願いしてシフトをたくさん入れてもらった。

そのかいあって、時給900円だったにも関わらず、1ヶ月で手取り30万稼いだ月もあった。

夏に入った頃には、契約社員にならないかと誘いも受けていた。
実際に僕が勤めていた店や他店でも、ピアノの先生や劇団員など、他に本業を持ちながら契約社員として勤務している人がいたので、それも悪くないなぁと僕は思い始めていた。
その反面、本業は大学生なのだから、さすがにこの生活が永遠に続くとは思っていなかったが、少なくともしばらくは続くだろうと信じていた。
ところが僕のこの思いはあっけなく崩れ落ちることになった。

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