沖縄で感じたこと

初めての沖縄から約10ヶ月後、さまざまな試練や苦難を乗り越えて、最終的にレーコド会社に所属が決まった。
小さな第一歩かもしれないが、メジャーデビューへの切符を手に入れることができた。
今まで自分を試すことをしてこなかった僕にとって、メジャーデビューへの挑戦は大きな自信になっていた。
もしかしたら、この挑戦が後の沖縄移住を実現できるという自信とパワーに繋がって行ったのだと思う。

この時も、お祝いと自分へのご褒美の意味を込めて再び杏伍と沖縄へ行った。
前回同様に、リゾートへ行って南国気分を満喫したりとか、マリンスポーツを楽しむとか、そんな洒落たことはしなかった。
ただその街に居て、その街の空気に触れているのが僕は好きだった。
国際通りをぷらついていても、なんとなく道を一本はずれて住宅地を散策したりもした。
街並みを見て、実際に肌で空気を感じて僕は思った。
「なぜだかとても懐かしく感じる……」
もしかしたら自分の本当の居場所はここにあったんじゃないかと強く感じてしまった。
沖縄には、人を惹きつけるような何か魅力があるのかもしれないが、僕はまたそれとは違う感覚でそう感じたと思う。
今まで特に南国が好きとか、透き通った海が好きとかあった訳でもないし、沖縄を知った今でもその気持ちに変化はない。
純粋にここの土地と空気に惚れてしまったのだ。
いつかこの街で生活できたら……そんな思いを抱くようになって行った。

これを機に杏伍を誘って、年3回のペースで沖縄旅行をするようになった。
あまりの沖縄好きが高じて、最高7日間も滞在したこともあるほどだった。
そして毎回、沖縄旅行最終日には、「帰りたくない。このままここで暮らす」などと言って、その場に座りこんで、なかなか空港へ行こうとしなかったりして杏伍を困らせることもしばしあったた。
杏伍にしてみたら、本当に迷惑な行為だったと思うが、僕にとっては、それぐらい沖縄に居ることが好きだった。

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