『(……こういう時はどうすればよいのでしょうか)』
”あなたが思ったことをしなさい”
”七実…、あなたは人形なんかではないのだから。自分の思うように行動しなさい”
ふと、あの人に言われたことを思い出した。思った、こと…か
「ちくしょう……ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!」
『…ナルト』
七実が横にいるナルトを見ると泣いていた
『ナルト止まってください』
七実は暴走しかけのナルトを止めようとする
「お前らなんか誰も認めやしない!!その巻物はお前を封印するためのものなんだよ!!」
ミズキはナルトに向けて手裏剣を投げた
『……』
その時、七実が動いた
「七実!?」
七実はナルトに向かって投げられた手裏剣を素手で打ち落とそうとしたが
「ぐっ…!」
イルカが二人を庇ったのだった
『イルカ先生…』
「何で…」
イルカは静かに話し始めた
「オレなァ…両親が死んだからよ。誰もオレをほめてくれたり認めてくれる人がいなくなった。寂しくてよォ…クラスでよくバカやった…人の気をひきつけたかったから優秀な方で人の気がひけなかったからよ。全く自分っていうものが無いよりマシだから、ずっと、ずっとバカやってたんだ。苦しかった」
ナルトと七実の頬に何かが落ちた。それはイルカの涙だった。意味がわからない。理解できない。七実は人間というモノを理解できないでいた
「そうだよなぁ…ナルト、さみしかったんだよなぁ…苦しかったんだよなぁ。ごめんなァ…ナルト、七実。オレがもっとしっかりしてりゃ、こんな思いさせずにすんだのによ」
「……」
『(僕には、そんな感情はないから平気なんですが)』
ナルトは七実の冷たい手を握ると、走り出した。後ろでイルカが名前を呼んでいるのが聞こえた
「七実……」
『何でしょう』
「ごめん…俺…」
七実は自分の手を握っているナルトを無表情で見る
『うん』
「絶対にこの巻物は渡さねぇ!」
『ふふっ、分かっていますヨ』