マリア※
(突発短編)


真っ直ぐに、いえ、躊躇いがちに私を見上げる彼女が可愛くて目眩がして。

「せ…先生…!?」

気付いたら、彼女にもたれかかり、右手が悪さを始めていた。
ゴムの抵抗を軽やかにかわし、人差し指と中指が、温もりを携えた茂みへと行き着く。

「…だ、だめ…そこは…ぁあっ」

爪弾かれた弦のように反射的に鳴く彼女。
同時に跳ね出す滴。
私の指に合わせて、調べを奏でる彼女。

「…可愛いね?」

そう、声を吹き掛けるだけで、彼女の唇は噛み締められ、けれども私の指は歓迎の飛沫を浴びせられる。
何も知らない無垢な少女が、手をかけてはならない手摺にすがり、昇る為に脚を開く瞬間、だ。

閉じられたアルバム達が、戦慄く音に耳を背けて、

「せんせい………して…ぇ!」

私は本日も、餓えた羊に救いの手を差し伸べるのです。


end

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