笑っていたい  





※学パロ


「先輩」

「あ、沖田くーん!部活終わり?」

「えぇ。一緒に帰りやしょう」

「おうよ」


休日、部活に励んでた俺は、帰りに偶然にも先輩と会うことが出来た。
午前で終わったお蔭で日差しが容赦なく体に刺さる。
秋口とはいえ、まだ熱い。


「あつい、なぁ」

「勘弁してほしいですねィ。こちとら部活に励んでたってぇのに」

「はは、お疲れさん」


他愛ない会話をしながら帰路を進む。
途中、空を仰いだ先輩が、


「風、」


と、涼しそうにしながら笑った。
あぁ、抱き締めたい。
そんな衝動にかられてしまう。
憧れ、というには些か大きくなってしまったこの気持ち。
その正体に気づきたくなくて知らない振りしてたのに、もうそれも無理だろう。
ただ、先輩が眩しくて、目を細めた。
そんな俺の視線に気付いたのか、先輩がこちらを向いた。


「ん?」


抱き締めたいけど、そんなの無理だってわかってる。
でもせめて、手を繋いでみたいと思った俺は既に正常な思考を捨てていた。
少し前の自分がみていたら必ず吐くだろう。

繋ぎたい、無理、わかってる、繋ぎたい

悶々と頭の中で繰り返していると、先輩が手をさしのべてきた。
突然のことに首をかしげる。
すると先輩は苦笑を溢して俺の腕を引っ張った。


「ぇ」


何よりも絡められた指に驚く。
どんな心変わりだと。
相変わらず先輩が考えてることがわからなくてただ着いていくだけ。
でも、嫌ではなかった。
先輩が真っ赤になった顔を見れるのだから。


「先輩」


だからその耳元でささやいて見せようじゃないか。


「ずっと前から、あいしてます」

不器用なりに、ね。






End



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