Uベストポジション


土方さんとか近藤さんが背ぇ高いから分かりづらいけど、沖田さんも普通に背は高い。沖田さんの腕を掴もうと手を上げると、更に高く上げられ、隙をついてデコピンされた。

「開けても?」
「どーぞ」

丁寧にラッピングを剥がしていくと、中からもう一つ小さな箱が出てくる。
おお、これはマトリョ的なアレですね。
肩透かしを食らった気分にはなったが、気を取り直し、箱を開ける。

「なーんだろなーっと………んんん」

また箱。
ま、まぁね、うん。よくあるよくある。
あれでしょ、ちっさくなるけど、その分いいもの、みたいな。
婚約指輪とか入ってるパータン。うわあ、そう思ったら超ドキドキしてきた。手汗かくわ。ヒロインなのに。

ペリペリと剥がしていくも、予想通り箱、箱、箱だった。
もうこの辺になると沖田さん目の前でも多少剥がし方が雑になってくる。

「何ですかねー、ドキドキしますね」

呟きながら箱を開けて開けて開けまくる。
最初両手に余るほどの大きさだったのが、今や親指と人差し指で掴めるほどになってしまった。
う、うん、指輪ならジャストサイズ。ピアスって可能性もあるね。

そして―――

5ミリほどになった箱(ほぼゴミ同然)を何とか潰さないように開けると、中には包装紙がクシャッとしたものが入っていた。

…中身ってかこれ、芯じゃん。

「お…沖田さってオイィィィ!!寝てるよ!?人が一生懸命悪戯に騙されてる間に立って寝るなんて器用なことやってのけてるよォォ!?てかこんなモン渡すのに何を照れていたの!?」
「……ん〜…あーうるせぇ黙れィこの小娘がァ……………」
「暴言吐いて二度寝したァ!?」
「誰がこんな体勢で寝れるかってんだ……オイ、んなゴミほっといて床ん横になれィ…」
「んん!?ゴミって言った!?沖田さん貴方今ゴミを彼女にあげたって自白して」
「遅ェ」
「うをあっ!?」

足払いされ、無様に尻餅をつく。
ひいいやあああこーろーさーれーるー!!

「あー…気持ちいー」
「ぐぇっ」

倒れるようにのしかかられ、私は乙女にあるまじき声を出してしまった。
そのままぎゅむっと抱きつかれ、ごろごろと2、3回転がると、ベストポジションを見つけたのか静かになってしまった。
……。
…これ沖田さんガチ寝すんじゃね?

「おおお沖田さん!?おーきーたーさーんー!?寝ないで!いや寝るんだったら私も寝たいんで体勢をですね、ちょっと整えたいんですけど!」
「うるせーや…無理矢理黙らさせやすぜェ」
「え!?ちょぉお沖田さ――んんっ!?」

唇を塞がれた。
いや今までの流れだとさっきのゴミとか口に突っ込まれたみたいな感じに思われるかもしんないけど、今回は違った。
あの、うん。
少女漫画的な方法で。

…やばい、不意打ちすぎて目ぇ閉じるタイミング完全に逃した。
沖田さんほんと可愛い顔してるよな。近すぎてピント合わないけど。
てか息息息呼吸呼吸呼吸ゥ!!

「っふ、沖田さ、んんっ」
「…っ。やだァこの子ったらエロい目でガン見してェ〜」
「んなっ!?ばっバカ言わないで下さいよっ!てか何でいきなり、」
「んー?別にィ、最近オメーにこうしてねェなァと思っただけでさァ。あ、じゃあこれがバレンタインのお返しってことで」
「完全に後付けじゃねーか」
「うるせェ口は塞いじゃうぞ〜」
「ををを黙ればいいのか喋ればいいのかわかんない!」
「じゃ普通にキスしやすか」

返事も待たず、再び重なる。
今度はしっかり目を閉じることが出来た。



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