Tモザイクアート


「はい、祐季ちゃん。バレンタインありがとう」
「っわー!ありがとうございます山崎さん!お返しなんて!くれると思ってました」
「あ、ウン、まぁいいんだけど」
「ってこれはもしや手作りですか!?」
「一応ね。モザイクケーキ作ったんだ」
「…うわわわわ!?なっ…なんですかこれ!!ケーキの断面が格子柄なんですけど!?超可愛い!女子力すっご!!」
「折角だからガッツリ作ってみたよ。我ながら味も自信があるんだよね〜」
「女子力先生!!」
「エッ」

今日は3月14日。
ホワイトデーです!



「おーい、祐季〜」

名前を呼ばれ、振り返ると、廊下の向こうから沖田さんが手招きしていた。
近寄ると、手近な部屋の中へと強制連行される。

「おわっ!?」

バランスを崩して倒れ込むが、沖田さんはヘッと笑っただけだった。この人ほんと酷いな!それでも彼氏か!

「な、なんです沖田さん…」
「バレンタインのお返しでィ。俺が律義な奴で良かったなァ」
「なっ!私はこんなことされて喜びませんよ!?」
「今のは関係ねェやい。まぁそれでいいなら俺も楽なんですがねェ」
「失礼いたしました」

大人しく謝り、チョコ待機体勢になる。
あれだ、沖田さんなりの照れ隠しだと思おう。うん、そう思ったら沖田さん超可愛い。やっべー可愛いよおおお!

「…キモッ」
「ほんとサーセン!!」

沖田さんは若干引き気味に懐から何かを取り出した。
しかし彼女に愛を伝えられたら引くとか本当に私達付き合っているんだろうか。付き合うってなんだろう。思春期か。
残念ながら成人済みですけどね。

沖田さんがくれたのは小さな箱。
可愛らしくラッピングしてあった。

「ありがとうございます!」
「手作りじゃねェんですけどねィ」
「…さっきの聞いてたんですか?」

尋ねると沖田さんは顔を逸らした。
あ、これは知ってる。気恥ずかしい時、よくこうするもん。
なんだか倍、嬉しくなった。

「職人みたいな手作りも、食べやすい市販も勿論嬉しいですけど、好きな人から貰うものはもっともっと嬉しいに決まってるじゃないですか。沖田さん、ありがとうございます」

にっこりとスマイル100%で改めてお礼を述べる。

「…そーですかィ。そら良かった」

沖田さんは横目でこっちを見て、ぐしゃぐしゃっと私の髪を触った。



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