34近藤さん、これ


「…近藤さん、これ、どうするつもりだ?」
「どうするって、勿論話すさ。祐季ちゃんと約束したからな」
「…そうか。それについては反対しねェ。だが…下手すると、二の舞になるぞ」
「今度は戻って来ないかもしれない、ってことか」
「あァ。どうなるかはとんと検討がつかねェ。慎重にしねェとな」
「…なあ、トシ」
「何だ?」
「祐季ちゃんと祐季ちゃん、どっちとも一緒に暮らしたり…なんてェのは、無理…なのかな」
「……さァな」





「祐季」

起きて着替えをしていると、何の前触れもなく襖が空いた。
目を点にしている私をよそに、土方さんが普通に話し出す。

「後で俺の」
「うをおおおおい土方さん!いやさ十四郎!うら若き乙女の着替えを覗いといてその反応は何ですかっていうか恥ずかしいんでお願いだから閉めて!着替えたら聞きますから!前開けっぱだからお腹見えてるのォォ!!」

着替えてるってあれだよ、隊服着る途中じゃないよ!?寝間着脱いでる最中だよ!?帯解いたとこだよォォ!?
全力突っ込みをする私に対し、土方さんは目を細めるだけだった。
おいいい恥じらえよ!「っ…す、すまねェ!」とか言ってバンッって襖閉めろよォォ開けっ放しじゃねぇかァァ!!

「朝からうるせェな…。わあーった、出て行くから後で俺の部屋来い。話がある」
「へ?話?何ですか?」
「『あの事件』の事だ。有力な情報が入った」
「っ……」

一気に空気が固まる。
…こんな格好でする話題じゃないだろ。

頷くと、土方さんは部屋を出て行った。
襖は最後まで開けっ放しだったのでサッと閉める。しかしそこに偶然通りかかったであろう山崎さんが物凄く衝撃的な顔でこちらを見て硬直していたので、丁寧に目潰しをしてから閉じた。

「……」

祐季さんのこと、か。
私が祐季さんと入れ替わってこっちの世界に来て約3週間。
…たったの、3週間か。

でもいつかは終わるに決まってるし。
多分私が帰る日ももうそう遠くないんだろーな。
やり残したこと、無いようにしておこう。
取り敢えずそれだけ考えて、着替えを終え、土方さんの部屋に向かった。




声を掛けて襖を開けると、中には既にメンバーが揃っていた。
一番奥に近藤さん、その右前に土方さん、反対側に沖田さん、土方さんの隣に山崎さん。

「お待たせしました」
「適当に座れ」

促され、沖田さんの隣に座る。
室内の空気は重かった。いつもニコニコしている近藤さんはどこか表情が暗いし、いつも半分寝てる沖田さんは今日は起きている。

シリアスモード。
当たり前か、議題が議題だし。ただシリアスは苦手なんだよなぁ…!
時を見て、土方さんが話し出した。

「よし。それじゃ、早速だが。―祐季らが入れ替わった事件の、有力な情報が手に入った。山崎の功績だ」
「ご苦労さんでィ」
「ありがとうございます」
「…んで。その情報を話す前に、前回のをおさらいだ」

土方さんは煙草を咥え、簡単に話し出した。



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