33何だコレ


障子は丁寧にテープで修正し。
それから本来の目的である報告書を差し出した。

「何だコレ。こんなん出せっつったか?」
「いえ、土方さんが昨日、」
「おい待てこれ微妙に名前違ェんだけどォォォ!!テメェマジでふざけんな!!」
「ちょっ今言わなくたっていいじゃないですかあ!経緯を話そうとしてるのに間が悪いなぁ!」
「何で俺が怒られてんの!?」
「とにかくですね。ほら昨日の試合で、守るもの見つけろって言ったじゃないですか」
「…あァ。それの報告か。いやに律儀だな」
「でしょ?給料上げてください」
「今の発言で減給だアホ」
「御免なさい何でもないです土方さん」
「まぁこの宛て名の時点で減給決定だけどな」
「そんなァァァァ」
「自業自得だろうが!」

怒りながらも、土方さんは中を確認した。

「……」

全て読み終え、はぁとため息をつく。

「お前なァ……」
「何ですか?」

一応中身はちゃんと書いたつもりだ。
呆れられるような要素、あったっけ?
しかし土方さんは何かを言いかけ、やめてしまった。

「…ま、いいか。とにかく解った。守りたいモン決まったからにゃ、しっかり守れよ。コイツをな」
「―はい!」





祐季が部屋を出て行き、一応障子の様子を確認する。
ここに穴を最初に開けたのは総悟だ。
ふと、先ほどの報告書の内容を思い出す。

「(守りてェ奴が、総悟とはな)」

それからもう一度ため息をついた。
飲み込んだ言葉を、心の中で繰り返す。

「(ったく…、テメーの恋心を俺に報告してんじゃねェよ)」

それでも得意そうな祐季の表情を思い出し、更には総悟の態度も思い出し、

……まさか、な。
ある可能性を思い至るも、それは笑い捨ててしまった。

そして、仕事に再度向かい合う。

「天人…。こりゃ、『あの事件』の情報じゃねーか…」

煙草に火をつけ、額に皺を寄せる。
少しだけ、嫌な予感を抱えながら。



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