28神楽ちゃんと新八くんに


「神楽ちゃんと新八くんに今度のお休み遊びに行くって伝えてといてね」
「あいよ。出来れば俺がいないときな」
「どういう意味だコラ」
「ごちそーさん」

銀さんはガチで私に高い金を奢らせて帰って行った。ああいう人間にはなりたくないな。
実は銀さんカッコイイと思ってたのに普段がおちゃらけすぎてがっかりだよ畜生!

「さて、そろそろ帰りやすか」
「あ…もうそんな時間ですか」
「帰りたくねェみてーな発言ですねィ」
「あいや、そういうつもりではないんですけど」

ちょっと楽しすぎて。
考え事も忘れるくらいに。

「あっち道1本向こうにホテル街がありやすけど」
「は!?ななな何言ってるんですか沖田さん!」
「誘ったのはそっちですぜィ?」
「やややめてください冗談は!」
「―冗談じゃねェ、って言ったら?」
「は……!?」

急に真剣な顔をして、沖田さんは至近距離で私を見つめてきた。
え、ちょ。…何これ!?
ふざけるには、沖田さんの様子がおかしかった。手を離してくれない。沖田さんはどこを見てるの?

「お、沖田さん?沖田さん!大丈夫ですか離してくださ―」
「祐季」
「―――ッ!」

今のは。
今の「祐季」は。
私に向けての、祐季じゃ、なかった、―――!


「―――ッ沖田さん…ッいい加減にして下さい!!私は――私は祐季さんじゃありません!!」
「っ…」

バッと手を振りほどき、沖田さんに背を向けて走り出す。
着物が物凄く走りづらい。でも足は止めたくない。
―楽しかったのに。嫌なこと、目を逸らしたいこと、忘れるくらい、楽しかったのに!

…なんで、いきなり。
どうしてこうなった。



詳しく知らない町を、適当に道を選んで走っていく。できるだけ角は曲がった。ここがどこかはもう分からない。帰り道なんて全く検討がつかない。
沖田さんは、いない。
それどころか、だんだんと人気もなくなり――

「――ッ!?」

暗い路地に入ったところで、誰かに手首を掴まれた。
ドキリとしながら振り返ると――しかしそれは全く知らない男の人だった。

「…っ…な、なんですか…?」

掴まれた手は解けない。
不審に思い、警戒心を強めると、

「……!!」

しまった!
いつの間にか男達に囲まれていた。やばい、ここはそういう奴らの溜まり場だったのか…!

「―女だ。それも上等な着物着てらぁ」
「上玉だな。おいネーチャン、残念だったなぁ、ここに来たのが運の尽きよ。大人しくカラダ売ってもらうぜ?勿論、中身をな」
「っ…!!」

臓器売買…!?
くっ…こんな奴らがいたなんて、帰ったら土方さんに報告してすぐ取り締まらないと、っくぁ…ッ!?

「……っかッ…!」

首を、絞められた。
そんなに強い力ではないけれど、徐々に、確実に強くなっていっている。
やばい、何とか形勢を、ああ、銃は私服に仕込んである、服は、沖田さんが、痛い、苦しい、苦しい苦しい!

「…ッ…ハ、ハ…ッ、わた、し、…ッ数日の間で2度も、…こんな、苦しみ味わうなんて、…ッ笑え、る…!」
「そうかいそうかい。でも安心しなぁ、これで最期だから」
「……ッう…」



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