26警察がこんなトコ


それから色んな店を回った。

クレープ屋さんとか。
団子屋さんとか。
雑貨屋さんとか。
ファミレスとか。
刀屋さんとか。
ケーキ屋さんとか。

4:2の割合で食べ物屋だったけど。
沖田さんは甘党らしく、回った店々で何かしら食べていた。
私は甘いのは好きだけど、実はあんまり食べられなくて。
ちょっと貰ったり、がっつり食べたり、お水飲んだり。

超普通に、デートだった。
今なら私幸せすぎて死ねる。いや死なない。こんな幸せの中で死ぬなんて勿体ない。
それからゲーセンに入った。

「警察がこんなトコ来ていいんですかねぇ」
「プライベートでさァ」
「おー、UFOキャッチャーありますよ!ね、一回やりません!?」
「あっちにシューティングゲームがありまさァ。行きやすぜ」
「私の高テンション無視ですか!」
「何でィ、オメーはこっちの方が好きだろィ」
「…あ、銃ですか!?」

わあい、モデルガンだ!わあい!昨日散々撃ったけど、やっぱり反動無いのは楽!
ガチャガチャとコインをいれ、二人対戦でゲームを開始する。

「ふおお!戦争ですか戦争!」
「敵は天人モデルでさァ」
「あ、ほんとですね。いっちょやったるでーい!」
「コレで普段の恨みを晴らしてやるぜィ…」
「沖田さんが黒い…!]」

ずばばばばば!
と、結局日々の怨念なのか技術の問題なのか、沖田さんのほうが高得点でゲームは終了した。
うん、沖田さん私より銃向いてんじゃね。

「あっほら沖田さん、UFOキャッチャー!」
「今UFO撃ち落したとこなんでィ」
「違いますうう!クレーンゲームですう!」
「やりたきゃやんなァ」
「えーでも下手なんですよね、私。沖田さんアレ取ってくださいアレ」
「あ?」
「あの奥の、宝箱」

ブロンズで出来たちっさい宝箱を指差す。
沖田さんは面倒臭そうに鼻をほじるそぶりをした。コイツ銀さんと同じことしやがる。

「どれでィ」
「あれですあれ!」
「これか?」
「あれで――って取れてるウウウウウウ!?」

マジでか!?一瞬でキャッチャーしたよこの人!1秒未満で奥の端にあるプライズを落とせる人初めて見た!!
…ん?あれ、でも私が指差してたやつはまだ残ってるぞ?

「違ェやつ取れちまった」
「わぁ、でもゴールドじゃないですか!ありがとうございます!」
「何入ってるんです?」
「何でしょ。開けますね」

パカ、と開けると、中には―――


「……っ」

指輪だ。
そんな高そうには見えないけど、可愛らしいピンキーリング。
装飾は殆どなくて、ただ小さいピンクダイヤが真ん中にトンと置かれている、シンプルなデザインのものだった。

「わ、あ………!!可愛い……!!」
「指輪とか重っ。返しやしょうか」
「ちょちょちょちょちょ!!なんて奴だ!!」
「祐季テメェ何タメ利いてるんでィこの野郎」
「ごごご御免なさいつい!でも返すのだけは止めてください!!」

必死に沖田さんの手から指輪を死守する。
こんな可愛らしいもの手放せるわけが!

「あの沖田さん!沖田さんさえよければこれ…私にくれませんか!?」
「嫌でィ」
「そんなあああああ!?」
「何てーかこう、必死に頼まれると要らねェモンでもやりたくなくなるといいやすか…」
「くおおおこのドSがああ!」



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