20いやぁ、なんていうか……
「いやぁ、なんていうか……、ご愁傷様」 「山崎さ〜ん!可憐な少女の背中にアザ出来てません?ホラこの辺!超ジンジンするんですけどっ!」 「大丈夫大丈夫」 「ちょっと隊服の上からじゃ何もわからないでしょ!?」 「見なくても祐季ちゃんなら大丈夫だって解ってるから」 「どういう意味!?」
それにしても、沖田さんには完ッ全に負けた。 卑怯といえば卑怯だけど、簡単に敵に得物を渡した私も迂闊だし、確認しなかったところも私の失態だ。それは十分解ってる。 ううううううう! それでも悔しいものは悔しい!!
「沖田さんのばかばかバカカバハゲ」 「おい祐季。それ以上言ったら同じとこにもう一発打ち込みやすぜ?」 「うっ…。で、でもでもでもっ!私はちゃんと沖田さんと戦いたかったのに!」 「もっと狡猾になったら再戦してやりまさァ」 「うううう!」 「それより祐季、明日一日楽しみにしときなさんなァ」 「―あああっ忘れてた!!」
一番負けちゃいけない人に負けた!! くそううううう!
「山崎さん、私がもし明日『沖田様どうか薄汚い私めを罵ってくださいぃ』とか言ってたらどうかこれで一発、私の心臓にドスンと」 「そんな二重に怖いこと言わないで!!やらないから!例えそうなっててもやらないからね!」 「ああ神様、どうか明日の私は正気を保っていますように…!」 「ていうか祐季ちゃん。試合はまだ終わってないんだから」 「あ」
そうだった。 まだトリの土方さんが残ってたんだった。
「トリ方さん〜」 「てめェわざとだよな。いや前回から思ってたけど確実にわざとだよなァ!いい度胸じゃねェかオラァ!」 「いい年した大人が女子ども相手に躍起になって、みっともないですよ土方さん」 「そうですぜィ土方さん。恥を知った方がいい」 「ねー沖田さん」 「なァー」 「お前らさっきまで喧嘩してた癖にこういう時だけタッグ組んでんじゃねェよ!!おら早く始めるぞ!!」 「はぁーい」
あー、今回も休めなかった。 今度はちゃんと銃の弾を確認する。その他の動作も問題なし。よし! そういえば沖田さんに負けたから少なくとも1週間はまた指導通いかぁ…。いつになったら一番隊副隊長の仕事が出来るんだろう。今のところ秘書みたいなことしかやってないぞ…?
「―じゃあ、準備いいか?二人とも」
土方さんに代わって近藤さんが合図をする。 二人とも頷いたのを確認し、ビシッと手を挙げた。
「んじゃあ最終戦だ!いざ尋常に―――始め!!」
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