10失礼しまーす…
こんにちはみなさん。 もうだめかもしれない祐季です。
あれから沖田さんはどこかへと行ってしまい、また土方さんは自室でお仕事、近藤さんはお風呂、山崎さんは……あれ、いつの間にかいないな。 とにかく一人になったので、『私の部屋』に行ってみることにした。
「失礼しまーす…」
なんとなく断りを入れ、踏み込む。 部屋の中は、当たり前のことながら見覚えは全くなかった。 知らない私物。知らない匂い。…けれどどこか落ち着く。
「…服もよくわからないんだよなー…」
土方さんが自室に篭る前、私に隊服を用意してくれたのだが、私はその時ようやく自分が着物を着ていることに気づいた。
―「じゃあこれは誰のなんでしょう」 ―「祐季のだ。というか、事件当日着てた。…まぁ、半分囮捜査みてェなモンだったんだ。祐季は腕が立ったしな」 ―「…そうでしたか」 ―「お前はどうだ?」
その問いに、私は無難に「わかりません」と答えた。
「とりあえず隊服は洋装だし。着替えよう」
動きやすさが重視されていたのか、幸いにもお妙さんのようなガッチリした着物ではなかったので、うんうん唸りながらなんとか着替えられた。 隊服。 祐季さんのだというそれは、当然のことなのか、ぴったりのサイズだった。 何だか着馴染んでるって感じ。
← →
▼back |