11刀…は持ってないのかな…?
「刀…は持ってないのかな…?前線じゃなかったとか?」
でも、二番隊長らしいし…。 捜査中だから外して、どっかにしまってるってところかな。 そんなことを考えつつ、脱いだ着物を畳もうと手に取ると――― ――ガシャッ―
「――え――」 何か黒い物が落ちた――――それに気づいた時にはもう遅かった。 ――――パア――ンッ!! 「いっ―――たぁ…ッああッ……!!」 一瞬で腕に鋭い痛みが駆け抜ける。痛み、なんてどころじゃない。 ―落ちたものは、拳銃だった。 生理的に溢れる涙で視界がぼやけながらも、銃の安全装置が壊れているのを確認する。
あ…安全そうち、落ちた、から、外れ、撃たれ、熱い、熱い熱い痛い痛い熱いいたいいたい!! 「いっつぅ…うああ…ァッ!…っぐぅ…ッあ…ッ!!」
経験したことのない痛みに、まともに喋ることすらできない。 ただ絶え間なく呻き声を発するだけだ。 二の腕あたりを見ると、隊服は破れ、肌のばっくりとした隙間から赤い液がドクドクと流れ出していた。 銃弾は見当たらない。それだけ確認して目を逸らした。素直に気持ちが悪い。 そこまでしても痛みは全く和らぐことはなかった。寧ろ頭がクラクラしてくる。貧血か。 ―っていうか!床、服、部屋!汚れちゃう、私のじゃないのに、血は落ちにくいって誰かが! 「――祐季ッ!!」
その時、誰かが勢いよく襖を開け、飛び込んできた。 痛みに揺らぐ視界が、その人の姿を捉える。
「…っうっぐ、…え、…お、…ッ…!」 ――おき、た、さん、ッ!? ← →
▼back |