09……そうかそうか…


「……そうかそうか…。それは大変だったね、祐季ちゃん」

話を聞いた近藤さんは全く疑うことなくそう言ってくれた。
実際会う前はただのゴリラだと思ってたけど、なるほど土方さんたちが惚れ込むわけだ。超優しい。私も今惚れそう。絶対惚れないけど。

「てことは、行くところもないんだよね。勿論うちにいなさい。祐季ちゃんの部屋もあるし、そこ使ってね」
「ありがとうございます…!」
「―総悟の隣だけど」
「さようならっ」
「おいィィィ!!逃げんなこらァァ!!」
「離してください土方さん!何で私が珍しくしおらしくなったと思ってるんですか!気まずすぎて胃に穴が開きますよ!!」
「オメーの頭にも穴ァ開けやしょうか?」
「ふわあああああ!?」

いつの間に沖田さん!?しかもバズーカのスコープ覗いた状態だよ!!狙いキッチリ定め終わってるよ!!
けれど沖田さんの前では、私は叫び声以外何も発せなくなった。
だって、怖いのは本当だ。怒らせてる。それが本当に怖い。

「おい総悟。あんま苛めんな」
「そうだぞ総悟。祐季ちゃんだって困ってるんだ。そりゃあ、祐季ちゃんがいなくなっちゃったのは、寂しいけど…。でも生きているんだ。そういう事なんだろ?」
「多分…そうだと思います」
「なら、良かった。そっちでも上手くやってるといいなぁ、祐季ちゃん」
「…近藤さんは能天気すぎまさァ」

沖田さんが私を睨みつけたまま、バズーカを降ろした。

「コイツの言ってることが全部嘘で、実は祐季を攫った張本人で入れ替わった振りをしてるって可能性も…」
「おいおい総悟、それは飛躍しすぎだろ。それに姿かたちは全く一緒じゃないか。流石に双子でもいない限り、そんなこと出来っこないよ」
「…でも、やすやすと信じるには話が怪しすぎやす。俺ァ信じませんぜ。…おィ、そこの雌豚ァ」
「めすぶっ…あっハイ!」

雌豚を否定したかったけど眼光に負けて返事をしてしまった。
明日から雌豚って呼ばれ続けたらどうしよう。それに疑問を抱かないようになったら更にどうしよう。
そんなことを考えてる間に、

「すぐに化けの皮剥がしてやりまさァ。んでその暁には俺の一番豚にしてやりやすぜィ」

一番弟子ならぬ一番豚ァァァ!!

結局また半泣きになった私でした。



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