03

『……ん、っ!』
ふと目が覚め、勢いよく起き上がる
知らないうちに居眠りしちゃってたんだ
腕時計を見ると、1時間程寝ていたようだ
付けていたはずの音楽プレイヤーも外れている
『って、この白衣…?』
ここまで考えて、ようやく自分の体に白衣がかかっていることに気付いた
持ち上げてみると、かすかに香る懐かしい香り
『……燭先生の匂い』
だんだん名前の顔から血の気が引いていく
ということは、私が寝ている間に燭先生が……!
『はぁ…仕事サボってること怒られちゃうじゃん』
でも、黙って白衣を返すのはなんか悪いし
ありがとうございましたぐらい言っておかないとかな
そう考えながら、名前は自室へ戻った
……既に、名前は燭と付き合っているという自覚はない



夜ー
白衣をわきに置き、燭を待ちながら仕事をしていると、部屋のドアが開いた
「……名前、まだ起きていたのか」
そう言いながら、燭はネクタイを緩め名前に近寄る
『あ、燭先生。おかえりなさい』
すると、燭が差し指で名前の唇を押さえた
「二人のときは“燭”だろ。敬語も止せ」
それはそうと、と燭が続ける
「どうしたんだ、こんな夜遅くに」
時計は2時を指しており、窓からは大きな月が見える
これを、と言いながら白衣を燭の前に差し出す
一瞬、燭の眉がピクっと動いた
『燭の白衣でしょ。私が寝ている間に掛けてくれたの?』
「確かに私のだし、お前が寝ている間に掛けたが、なぜ私のだと分かった」
『だってこれ、燭の匂いがするもん』
畳んである白衣と隣で立っている燭に顔を近づけ、ほらね、と笑う
「それほど私の匂いは独特か?」
『んー独特ってゆーか、安心する匂い、かな?』
「……そうか、ならば今夜は一緒に寝てやろう」
『はっ?!』
唐突な彼氏の提案に驚く名前
「安心してよく眠れるようにだ。もう遅いしな、寝ろ」
言いながら燭は白衣を脱ぎ、シャツを替えている
『で、でもシャワーとか浴びてないでしょ』
「そんなもの朝に浴びる」
パチンと音がして、部屋の電気が落とされた
窓から射す月の光が室内を満たす
薄暗い部屋で、どうしようかと迷っていると、いきなり体が宙に浮いた


To be contenued………


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