第7譜 2/2

水をいれた桶に、タオルを数枚入れ、羊から貰った氷を持って无の部屋に戻る

「花礫はいらない」

中から聞こえてきた无の声に、ドア開けようとした名前の手が止まる

思わず立ち止まって、聞いてしまう

「それ、意味言えよ」

「え…!花礫が…コワ」

「こわい?お前…今更?」

「花、花礫…」

「なんだよソレ。欲しいモンやるから消えろって?輪【サーカス】ともう知り合えたんだもんなァ」

表情は見えないが、怖い顔をしているんだろうなと名前は声色で分かった

「無垢なフリして調子イイ奴って悪いけど嫌いなんだよ」

ここまで聞こえると、いきなりドアが開く

花礫は、ドアの先に名前がいたことに驚いたようだ

「……お前、聞いてたわけ」

それだけ低く言い放つと、どこかに歩き出してしまう

『ちょ、ちょっと待って』

慌てて持っていたものを床において、花礫の後を追う名前

『ねえ、何があったの?』

「……お前には関係のない話だ」

『そんなことない……って』

名前が花礫に追いつき、手を掴む

だが、すぐに振り払われてしまった

「…………」

そのまま無言でスタスタと歩いて行ってしまう



花礫が向かった先は、與儀の部屋だ

ソファで寝っ転がっている與儀を見つけるや否や、花礫が胸ぐらを掴む

「あのひげジジィどこだよ…」

「ええ?えっと…?(療師のことかな…)」

いきなりのことで、與儀の頭がついていっていない

「クソガキ(无)が起きたって伝えろよ」

相変わらず、不機嫌な声で言う花礫

「わかったー…から落ちつこう〜?」

與儀が名前にSOSサインを送るが、名前はゆっくりと首を横に振る

「と、とにかく療師のとこに行こっか……」

與儀がだした結論はこれだけだった



ーその頃、平門の部屋では

「おるかのう〜」

療師が来ていた

「どうぞ」

平門が応え、療師が中に入ってくる

「ちっとは目を休めんかいっ。だから眼鏡なんぞになるんじゃいっ」

「子供の頃からなんで遺伝です。掛けてください」

療師の毒舌をスルーし、椅子に進める

「データばかりじゃないじゃの」

平門が、パソコンを使わずに紙とペンを使っているのを見て聞く

「紙に残したもののほうが俺は好きなんです。で、夜食を食べにきたわけじゃないんでしょ」

「おお、あの子供の身体なんじゃがの…………」




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