第7譜 1/2
苦しそうにうずくまる无から絞り出すような声が出る
「ずっと…さび…しか…」
「无?」
心配そうに聞き返す花礫
「无君…!」
「无ちゃん!?」
『しっかりして!』
みんなも口々に叫ぶ
「お前なにかアイツにヤられて…!」
『じゃあ、療師呼ばなきゃ』
「分かった、俺が呼んでくる!」
そう言うと、與儀は走って行った
「平門!无君が……」
ツクモが平門に電話をかける
名前は空いている部屋を探しに行く
「いた…い…」
弱々しく无が花礫に手を伸ばす
「男だろ。しっかりしな」
そういう花礫は、无の手をしっかりと握った
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「花礫君?」
考え事をしていたのか、ツクモの声でハッとなる花礫
『OKが出たから入ろ』
名前たちが腰を上げると
「じーちゃん!!ねぇどうなの!?无ちゃんの具合は!!ねぇじーちゃんてば!!」
部屋の中から與儀の騒がしい声が聞こえてくる
『……またこれか』
「花礫君、ふせて」
「ハァ?」
『いいから早く』
「やかまっ……しいわ!!」
三人が伏せると同時に、部屋のドアが吹っ飛び、中から與儀が飛んできた
「患者の前じゃっアホンダラ!!安心せい!!どこも負傷はしとらん!!」
與儀よりも騒がしい声を出しているのが療師だ
『良かった〜。とりあえず一安心だね』
名前が无の寝ているベットに近づく
「じゃが、一度脳波が強く乱れおって、今は意識を手放しておる。乱れの原因はここでは分からん。“研案塔”で調べるのがええじゃろ」
「そうですか。じゃあ時間が勿体無いので俺はこれで」
「外に転がっとるアホタレも持ってかえれの」
「人体実験にどうぞ」
平門がそうサラッと言い、名前の頭をポンポンっと叩いて部屋を出て行った
「療師!目はいつごろ覚めますか?私の責任です。任されておきながらー」
ツクモが切羽詰まったように療師に聞く
「安定しておるからそのうち覚めると思うがの」
療師の答えに、幾分ホッとしたようだ
その様子を見て、療師が続ける
「ツクモは肩の力を抜くとええの。背負うのは自分の分だけでええんじゃよ」
「っ……戻ります!无君、お願いしますっ」
そう言うと、ツクモは足早に部屋を出て行った
『じゃあ、私は无くんのために濡れたタオル持ってくるね』
「おお、頼んだぞ」
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