第7譜 1/2

苦しそうにうずくまる无から絞り出すような声が出る

「ずっと…さび…しか…」

「无?」

心配そうに聞き返す花礫

「无君…!」

「无ちゃん!?」

『しっかりして!』

みんなも口々に叫ぶ

「お前なにかアイツにヤられて…!」

『じゃあ、療師呼ばなきゃ』

「分かった、俺が呼んでくる!」

そう言うと、與儀は走って行った

「平門!无君が……」

ツクモが平門に電話をかける

名前は空いている部屋を探しに行く


「いた…い…」

弱々しく无が花礫に手を伸ばす

「男だろ。しっかりしな」

そういう花礫は、无の手をしっかりと握った


***********


「花礫君?」

考え事をしていたのか、ツクモの声でハッとなる花礫

『OKが出たから入ろ』

名前たちが腰を上げると

「じーちゃん!!ねぇどうなの!?无ちゃんの具合は!!ねぇじーちゃんてば!!」

部屋の中から與儀の騒がしい声が聞こえてくる

『……またこれか』

「花礫君、ふせて」

「ハァ?」

『いいから早く』

「やかまっ……しいわ!!」

三人が伏せると同時に、部屋のドアが吹っ飛び、中から與儀が飛んできた

「患者の前じゃっアホンダラ!!安心せい!!どこも負傷はしとらん!!」

與儀よりも騒がしい声を出しているのが療師だ

『良かった〜。とりあえず一安心だね』

名前が无の寝ているベットに近づく

「じゃが、一度脳波が強く乱れおって、今は意識を手放しておる。乱れの原因はここでは分からん。“研案塔”で調べるのがええじゃろ」

「そうですか。じゃあ時間が勿体無いので俺はこれで」

「外に転がっとるアホタレも持ってかえれの」

「人体実験にどうぞ」

平門がそうサラッと言い、名前の頭をポンポンっと叩いて部屋を出て行った

「療師!目はいつごろ覚めますか?私の責任です。任されておきながらー」

ツクモが切羽詰まったように療師に聞く

「安定しておるからそのうち覚めると思うがの」

療師の答えに、幾分ホッとしたようだ

その様子を見て、療師が続ける

「ツクモは肩の力を抜くとええの。背負うのは自分の分だけでええんじゃよ」

「っ……戻ります!无君、お願いしますっ」

そう言うと、ツクモは足早に部屋を出て行った

『じゃあ、私は无くんのために濡れたタオル持ってくるね』

「おお、頼んだぞ」




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