こんやくしゃ



ツワブキダイゴというこんやくしゃ(仮)に手を引かれ我が家の見慣れた庭に二人きりにされた。
母とツワブキ父は今頃無駄に広いリビングで優雅(笑)なお茶会でもしているのだろうか?ああ、言い忘れていたがうちの家は中中に金持ち、らしい。だからこうして「こんやくしゃ」が勝手に決められている。人間は本当にめんどくさい社会だ。番なんて言うのは卵グループが同じやつを適当に……


「君の家のお花は凄いね、こんなにキレイに咲いてるの初めてみたよ!」

「……えっと母がガーデニングが好きなので…最近はバラを栽培しています」


おっと、今私は何を考えていた?ツワブキダイゴの言葉で現実に戻された私は適当な返事をして母の自慢の薔薇園を指差し、会話のキャッチボールをしたくないがあまり少し距離をとる。
というかこのこんやくしゃ(仮)の最初から馴れ馴れしい感じが気にくわないのだ。


「バラ……見てもいい?」

「ええ、どうぞ。勝手に入っても怒られないと思います」


私の示した方向に走っていくツワブキダイゴの背中を距離を保った場所で追いかける。バラを巻き付けた豪華なアーチを潜ると色とりどりのバラが咲き誇っていた。母さんも中々凝り性で最近じゃ品種改良のバラもやり出したらしい。それを見つけたツワブキダイゴは興味深々にそんなバラを眺めていた。


「うわぁ凄い!珍しいね……青色のバラだぁ……この色の美しさはまるで水の石みたいだね!」



「は?」

いけない,一瞬本音が零れ出た。だがツワブキダイゴは気にしてないのか(もしくは聞こえてない)そのまま話続ける。


「水の石というのは元々水ポケモンのエネルギー体の塊って言われていて…あの水色の透明感に気泡の用な模様…まさしく「水」の石なんだ」

「は……はぁ?」


とりあえず頷いておけば満足そうに続きを語り始めるがすると今度は青いバラの隣に咲いていた赤いバラを熱心に見つめる。


「あ……こっちのバラはまるで炎の石みだいだね!情熱、まさにその名前にふさわしい名前だよね。ちなみに炎の石っていうのは元々……」


何故バラから石の話に、というツッコミをいれられないまま嬉々とした様子で語るこんやくしゃさん。その姿にある言葉が私の頭の中を過ぎった。







ああ……こいつ、アレか変人だ。


(なんかこういう奴知ってる気がする…誰だっけ?)


変なスーツを着た男か微かに頭を過るがそんな人間は記憶にない。まあとりあえず今はそんなことよりこの話(石語り)を中断させねばと淡々と語るツワブキダイゴの間に、何とかコメントが言えた。


「石のことはわかりませんが水の石がキレイなのはわかります」


そう、当たり障りのない答えってやつだ。このまま適当に流そう、そう思って答えたのに




「ッ…だよね!君にもわかるんだねッ!!」

キラキラと、その大きな瞳には謎の期待を持っていた。……何故そんな目で見る




ダイゴ に すこし なつかれた
そんな言葉が浮かんで選択肢間違えたかな、とすこし後悔したが嬉嬉として続きを語り始めるダイゴに手遅れな事を悟った。




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