勝手なお方
ラズワルドさんは意外と話上手でそれから何回かお茶をすることが増えた。
「ラズワルドさんって聞き上手ですし話上手ですよね。なんでモテないんですか?」
「それ本人に聞いちゃうんだ……僕もわからないです……」
今回のお茶会は供給のために立ち寄ったとある村の質素なカフェだ。
ガンズやマクベスと言った軍の厄介者はマークス兄さんが今はお目付け役となってくれているため羽を伸ばしてこい、と言ってくれたのでこうして私もゆっくり出来ている。
ラズワルドさんも最近は進軍続きで疲れていたのかその笑顔は憑き物が取れたような爽やかなものだった。
「たまに思うんだけどカムイさんは、僕の父さんに似ているなぁ」
「ラズワルドさんの、お父様ですか?」
何故に異性に?と首を傾げるとあっ不快だったらすみませんと謝られた。
「いえ、それより理由をお伺いしてもいいでしょうか?」
「え……うん。僕の父さんは軍を率いる軍師だったんだ」
「まあ、ラズワルドさんのお父様が?」
そうそう、と彼は嬉しそうに話始めた。
自分の父は王国の軍師で鮮やかな進軍で軍を勝利に導いたとか、結構親バカでナンパするとすぐ怒られたとか……ラズワルドさんはお父様が大好きなんですね、と私も釣られて笑うが、
でも、と
そう一回区切ると彼は悲しそうな、泣きそうな笑顔で
「……とても、勝手な人だった」
「……亡くなってしまったのですか?」
「亡くなるより……もっと酷いよ。……勝手に…置いていかれたからね」
ごめんね、こんな話しちゃって、……と一度目を伏せたラズワルドさんは話を変えようか!!、そう明るく話題を無理やり変えた。
なんて寂しそうな目をする人だろうか、
私は心の底でそう思った。
🌹
「……最近、カムイ様はマークス様の臣下と一緒にいることが増えましたね」
「?、ええラズワルドさんのことですか?彼、結構話上手で……」
ある日、拠点にしている異界のマイルームでいつものように美味しいお茶を入れてくれるジョーカーさんが渋い顔をしてそう聞いてきた。
この人はいつまで私を箱入り娘にするのだろうか
「あんな軟派なやつ、カムイ様とは不釣り合いです」
「ええ、でも大切な人です」
だから彼に危害を加えるのはやめて下さいね。彼がんな事をする訳ないと思いつつ笑顔で牽制しておく。
「ラズワルドさんはいい人ですよ」
先日貰った花を花瓶に挿して笑うとジョーカーさんが、淡々と「そうですね」と言ってくれた。
……本当に大丈夫だろうか?
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