過ちを犯さないために
「あっカムイ様!」
「あらこんにちはラズワルドさん。今日もナンパは失敗ですか?」
「うわ痛いとこ付くなぁ…実はその通り何です。…って言ったらカムイ様,付き合ってくれますか?」
「それはどうでしょうか?」
白夜への進軍に神経をすり減らす毎日を送っていたとある日、マークス兄さんの直属の部下であるラズワルドさんが笑顔で声をかけてきた。「腕も立つ、悪いやつではないのだが……軟派な奴だ。カムイも気をつけてくれ」と兄さんが言っていたことを思い出す。
だがまあ今はこうしてちょうど暇を持て余していた。戯れ程度には付き合ってもいいかな、と「仕方が無いから付き合いますよ」と言うと大げさに彼は喜んだ。
「やったー!!カムイ様とお茶なんて……いつもはマークス様やジョーカーという障害が多いお方ですから」
「それを知っていてお誘いするなんて……ラズワルドさんは勇気がありますね」
「過保護なのは認めるんだね……あれそう言えば珍しいですね」
「え?」
「カムイ様が、ジョーカーといないなんて」
そんなに四六時中一緒なイメージを持たれているのだろうか?いや、時間さえあれば四六時中ひっついてくる人だけども。
今彼には別件で仕事を任せていた為こうして1人で羽を伸ばしていたのだ。
「私達そんなにくっついてますか?」
「うん。なんか執念みたいのを感じるレベルでカムイ様にべったりだよ。なんか…こう「目が離せません!」的な?」
「失礼な。私は確かに箱入りかも知れませんがそこまで過保護にならなくても…」
ラズワルドさんは隣失礼しますね、と私の隣に並ぶと美味しいお茶菓子を売っているというお店に案内をしてくれる。
「それとジョーカーって女の人嫌いだよね。あっカムイ様以外の」
「えっ?そうなんですか?」
それは初耳だ。フェリシアさんやフローラさんと普通に仕事をしているがそんな様子は見受けられなかった。なぜラズワルドさんが知っているのだろうか?
「前に声かけた女の子がジョーカーの事が好きでね……慰めていたら「女は嫌いだ」「カムイ様に誤解されるから近づくな」ってフラれたって」
「……そこまで仕事一筋じゃなくてもいいって注意しておきますね」
誤解される、って何のことだろうか?
私は別にジョーカーさんが女性とくっついてもなんとも思わないけどなぁ
「"今度こそ"幸せになって欲しいとは思いますけど」
「えっ?どういう意味です?」
「?……私でも分かりません。無意識に言ってしまいました」
とりあえずジョーカーさんにはもっと出会いを大切にって言っておこう。
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