首を支える手を離そうかと思った


まだ国は荒れているという事でカムイ様が出した提案は時間の流れの違う星界で休暇を貰った。ここだと時間の流れが違うため、進軍に響かない状態で出産が出来ると、仰ってくださり臣下思いの主に何から何まで頭が上がらなかった。


そして暫くして,長男のディーアが産まれた。髪色は妻に顔は俺に似た男の子だ。

「性格はお前に似て欲しいが…」

そう呟いた俺に妻は柔らかく微笑んで,
私たちの子供をだ。きっと大丈夫。と言って俺の頬を撫でた。
母は強しという言葉があるが,きっと彼女のような人が当てはまる言葉なんだろうな。

「カムイ様にも,感謝しなければいけないな。」

初めての妊娠で戸惑う妻を支えて来れたのは休暇をくれた主人のおかげだった。
きっと彼女も無事に出産が終わったことに喜んでくれるだろう。

「落ち着いたら,ディーアも連れて挨拶に行こう。」

ディーアの小さな頭を撫でると彼女の髪と同じ色が手に馴染んだ。



🌸




「カムイ様、息子のディーアです」

「まあ、可愛らしい……ふふ、ジョーカーさんにそっくり」

妻の体調も落ち着き、ディーアの首も座り始めた頃、カムイ様へ遅ればせながら挨拶へ行った。
ディーアへ微笑む主人はまるで天女の様だった。 ああ……お前は俺の「神様」であるこの方に祝福されたのだ。そうだ、この愚息にも如何にカムイ様が素晴らしい方か教えこまなければ。そう思っているとカムイ様が「次はリョウマ兄さんのお子さんが生まれるんですよ」と微笑んだ。

そう,白夜軍はリョウマ王子の婚約発表を切っ掛けに結婚する人が増えていた。勿論,妊娠する女だっていた。
進軍中に何を考えている,と突っ込まれたら全くその通りだがその筆頭になってしまった俺が何も言える筈もなかった。

だが,未だに終わったはずの暗夜王国との反発があることは変わらない。子供たちはリリスによって安全な星界へ送ってもらい,今の俺達のように落ち着いたらこうして軍に復帰していた。今は特別にディーアを連れ出したがすぐに星界に戻す予定だ。


「……みんな、幸せそうですねぇ」



カムイ様は笑っていた。
その台詞はとても重たく聞こえたのは、……軍の1軍で結婚していないのはカムイ様だけだったからだ。

カムイ様にも、きっと良い方が出来ますよ。


この言葉を言った時俺ちゃんと笑えていただろうか?




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