こっちも再会 [ 71/156 ]
ドォン……ッ、!!
大砲を連続で船が撃ち続けて船が揺れ、正気に戻る。前方を見ればヘラヴィーサの漁船……いや、この海域にヘラヴィーサの漁船が来ることは無い。つまりあれはヘラヴィーサを襲撃したとかいう馬鹿が奪った船なのだろう。
「あっ副長!!ヘラヴィーサ襲った奴らっぽい船を追い込んでますからね!」
はやく正気に戻ってください!
言われなくても目は覚めた。エリアスは俯いて表情は見えないがまた小さく「嫌い……」と呟いていた。
「…………嫌いだろうがなんだろうが船にいるうちは大人しくしておけ。それが嫌なら海に帰るんだな」
「…………、……わかった」
手前の船との距離はそう遠くはない。相手も逃げきれないと察知したのか船を岸へ方向を変えた。賢明な判断だろう。
海の上での戦闘には慣れているが実力を見るにはやはり陸での動きが重要になる。
「陸に降りたぞ!」
「このまま押しかけますか!?副長!」
「ああ……俺が行く。お前は船で待っていろ」
ここから見えるたのは船から5名ほど降りたのが見える。あの少人数で港を襲ったとなると相当な実力のはずだ。下手な小細工はなしに直接殴りあった方が早い、バンエルティア号もヘラヴィーサの船に続いて陸地に付けるとベンウィック達が我先にと舟から降り立った
「……、……待って、わたしもいく」
「…待っていろと言ったはずだ」
「自分の舵は自分でとる……でしょ」
だから勝手に降りる。
そう言い切って止める前に船から降りていく。
……牢屋で幾分か「自分」を取り戻したのか、一年前と比べて少し意志が戻っているように見えた。
………それを思い出させたのは俺ではないが喜ばしい事だろう
🌻
「命令よ2号。コイツらを蹴散らせ」
「おっと!相手は俺たちじゃないぜ」
ベルベットの声に反応して男の子の……あれは聖隷?、が紙葉を取り出すと同時に船から飛び降りる。
背中に着いた大きめのリボンがフワッと私の体の後から付いてくるように靡くと、ベルベットが「アンタは………」と睨んできた。
「ロクロウ…皆…久しぶり……?」
「応!仲間と合流できたんだな!!いやー、一応心配してたんだぞ?」
「ちょっと!ロクロウ!和まないで」
見覚えのない男の子の聖隷とトカゲの業魔が増えていたがやはりロクロウ達だった。
偶然ってあるんだなーって思っていたら、後ろからアイゼンが「どけ、」と私を押しのけた。
「お前らの相手は俺だ」
「アイゼン……」
アイゼンが前に一歩出ると敵対行動と反応したのか、男の子が紙葉に魔力を込めて飛ばしてきた。アイゼンは地の聖隷術で壁を作りそれを簡単に弾き飛ばした。
「聖隷!」
「いいや……死神だ。エリアス下がっていろ」
「……戦うんだ……」
「ああ。…………
あいつがロクロウか」
「?」
「ほら、リア下がれって。こういうのは実力を見るのに大事なことなんだよ」
でも……3対1だよ?
マギルゥ、と名乗った女の子は戦う気が無いらしく上の空を見つめトカゲの業魔は隠れているが男の子、ベルベット、ロクロウの3人に対してアイゼン1人には変わりない。
私も、って前に出ようとしたら無言で睨まれた。
………………やっぱり「むっ」とする。これが「嫌い」って感情……?
「あの人鬼のように……じゃねぇな!死神みたいな強さだから大丈夫だ」
「……へー……」
そういえば、アイゼンの戦う所初めて見る……気がする。
今までみんなと航海していた時は巫山戯て殴り合いなら見たことあるけど業魔等を相手にしている所は見たことは無い。
……でも3人いるのにアイゼンが頑なにロクロウを狙うのは何でだろうか?