Helianthus Annuus | ナノ
バレてしまった [ 28/156 ]

日課のフルーツ狩りに来ている場所に行くと実ったばかりのココナッツにバナナ、それとキノコまで生えていたので今日は大量だった。
アイゼンの貸してくれたコートを使って収穫物達を抱えて来た道を戻るとまだアイゼンは戻ってきていないみたいだった。

「海に溺れた…とか、無いよね…」

いや、有り得る。
ここ2週間という短い期間で彼が何回海に落ちかけた、溺れかけたことか
慌てて果物を下ろしてアイゼンがいつも釣り場にしている海辺へ走った。







「アイゼーーーン!!おーーい!!」

「ん…?エリアスなんだ早かったな」

「……アイゼンがまた海に落ちてないか気が気じゃなかったから…」

「……、流石に学習している」


嫌な予感は外れてアイゼンは海岸から少し離れた場所で釣り糸を垂らしていた。この釣り糸は漂流物にあったものでまた新しい釣竿を嬉嬉として作っていたのが記憶に新しい。
…しかし溺れてはないが釣りの成果も無かったようだが。

「何か釣れそう?」

「今に見ていろ。大物を釣り上げてやる」

「それ何回も聞いたよ」

ちなみに未だに大物が釣れたことはない…。
でも彼の無事な姿を見て安心したので、先に拠点に戻ってココナッツでも割っておこうと立ち上がった瞬間
彼の持っていた釣竿(6号)の糸がピンっと張り詰めた

「アイゼン!!なんか来てるよ!!」

「漸くか!!」

慌ててアイゼンが釣竿を引くがびくともしてない。
むしろズリズリとアイゼンの方が海岸へ引き寄せられている。私も微力ながら釣竿を掴んで踏ん張るが相手もすごい力で引っ張ってきた。


「アい…ゼンっ!!これ…!!諦めた方が良くない!!?」

「いや!!ここで逃げては男が廃る!!」

「廃らないから!!もう十分いい男だから!!離そうよおおお!!!!」

「なっ……!!」

私がもうがむしゃらに叫ぶと踏ん張っていたアイゼンの力が急に弱まった。「えっ」と私が小さく発する前に勢いが弱まった綱引き(正確に言えば釣竿だが)は私の力だけで支えられるはずも無く、勢いよく私は釣竿に引っ張られるまま海へダイブしてしまった。


「っ…エリアス!!!!」




アイゼンの焦る声が聞こえる。ザバァン!!と大きな音をたてて私は海に落ちた。脚を見ると見慣れた尾ひれに戻っている。なんだかこの姿が久しぶり過ぎて少し懐かしく感じた。
急いで戻らないとこの姿を見られてしまう。アイゼンに見えない死角から岸に上がろうとすると釣竿の糸のが器用にも体にまとわりついていた。
こ…これが死神の呪いってやつ!!?急がないとアイゼンが(泳げないのに)海に飛び込み兼ねない。慌てて釣り糸を解こうとするとこちらに向かって大きな影が猛スピードで向かってきた。

「うわぁぁぁごめんってばぁぁあ!!」


それは、今まさに私たちが綱引きをしていた魚だった。なんかとても怒ってらっしゃっていて(無理もないが)動けない私に向かって突進をしてきたのだ。
避けることも出来ずに体に衝撃か伝わると。再び水しぶきを上げて私の体は浜辺に放り出された。


「エリアス!!?」

「ぷはあっ…もう!!あんなに怒ることないじゃんかーー!!!!」

糸が絡まる体をビチビチとくねらせると焦った様子のアイゼンの声が聞こえた。
や ば い、本能的にそう思った。


「人間は私たちの血肉を食らうから関わっちゃダメよ」


動けない中姉のその言葉が頭に過ぎり、一気に青ざめた。
見られる前に逃げなきゃ…!!と慌てて海に向かって尾びれを動かすが絡まった釣り糸によってうまく動かせず、浅い場所でバシャバシャと水を弾くだけだった。


「、もう!この糸邪魔!!」


「エリアス!!無事…か…………」



バシャバシャと抵抗した事が仇となって音をたててしまったせいで思ったより早く私を見つけてしまったアイゼンは、私の姿を見て固まっていた。



見 ら れ た





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