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血塗れなんて気にもせず抱き着いてきたリツにFirst nameは苦笑しつつも愛おしさが込み上げてきた。ぎゅうぎゅうと容赦ない締め付けに、心配させてしまったのかと謝罪の念を込めてそっと髪を撫でる。


「リツ、ごめんね」

「……」

「リツ?」

「貴女ともあろう人が易々と敵に捕まるとは思ってもみませんでした。ただ、貴女が自身の危険も顧みず敵の手の内に飛び込んで行く人だとは重々理解していたはずなのに……ッ」

「……」

「自分の愚鈍さに吐き気がする」

「私は、勝率のない忍務はしないわ」

「それでも!……ッ」


リツの瞳もきっと私の瞳も、真っ直ぐと前を見据えている。ただそこに純なものはなく、黒や赤を見過ぎだせいで、酷く濁っているだろう。それでもリツも私も目は逸らさない。


「それでも、俺はあんたの心配をする」

「……リツ」

「First nameさん、俺を置いていかないで」

「……」

「貴女とならどんなところでも行きますから、だから」


独りでいってしまわないで。

リツの懇願するかのような言葉は、まるで私がこの後里抜けすることを予期していたかのようだった。

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