03
若さには勝てない。
「あー、あー、疲れたー」
「はいはい、もうちょっとですよー」
町に到着し一気に脱力した私をリツがズルズルと引きずる。
「あ」
「んー?」
急に止まったリツ。リツの背中からひょっこり顔を出せば思わず私も「あ」と声を漏らした。
「鈴音さん、First nameさん。びっくりっすね」
「うわー、シカマルくんだー。お久しぶりー」
「どもっす」
「何々?シカマルくんも任務ー?」
「はい、今……」
「シカマルー!宿、部屋開いてたってばよ!」
「ちょっと!ナルト!荷物!」
宿場と大きな看板が掲げられた店の前からこちらに向かって大きく手を振る黄色い髪の青年がいた。
「あれが旅の仲間かい?」
「まぁ、あ、First nameさんたちも宿探しっすか?」
「うん。リツ、私たちも行こう」
「え、でも」
「ん?」
繋がったままだった手を引けばリツが素早く視線を巡らせた。
「あー、んー、大丈夫じゃない?」
「First nameさんがそう言うなら……」
二人の会話にシカマルは首を傾げた。
「なんかあんすか?」
「あー、うん、なんか今ね」
私たち付けられてるっぽいんだよね。
へらりと笑って見せれば、シカマルは唖然とした後、我に返ったように「それを先に言え!」って叫んだのだった。
[ 93/141 ][*prev] [next#]
[目次]
[栞]