02
モニター越しに声を張り上げている赤髪刺青男を指差して笑っているのは技術開発局局員のFamily nameFirst nameだ。
「あっひゃっひゃっひゃっ!こいつ莫迦だ!魚魯鯉にむかって声かけてるよ!インターフォンあるっつーの!」
くるくる回る椅子に行儀悪く足を上げて、腹を抱えて笑うFirst nameに同じく平局員のリンはモニター向こうの阿散井副隊長を哀れに思った。仮にも副隊長、未だに「すいませーん?おーい、あれ?聞こえてねぇのかな?」なんて言っている副隊長を指差し、腹を抱えて笑える平はFirst nameぐらいだろう。
「First nameちゃん、笑ってないでそろそろ開けてあげたら?」
たまたま居合わせた身、放っておくことなんてリンにはできなかった。阿散井副隊長が不憫すぎて。
「えー、ちょうど面白かったのにー」
「First nameちゃん」
「まぁ、リンちゃんに言われたらしかたないなー『どーぞー』」
「おっ、やっとか」なんて言う阿散井副隊長。門がちゃんと開き始めたことに安堵しつつリンはようやく立ち止まった足を進めようとしたが、はたと止まる。
「さぁて、お迎えだー」
「First nameちゃん、またしたの?止血しなきゃ駄目だよ?」
阿散井副隊長が驚いちゃう。
リンが眉間に皺を寄せながら言うも、First nameは気にした風もなく技術開発局の玄関へと向かって行った。その後にはポツポツと真っ赤な液体が後を追うように残された。
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