01
阿散井は肩を下げて歩いていた。両手には先ほど渡されたばかりの出来立てほやほやの書類だ。何故副隊長ともあろう自分が平隊員のような書類回しなどしなければならないのかと、一瞬怠慢な思考が横切ったが頭を振るって隊舎を出た。
まぁ、ただの書類回しならまだ良かった。帰りに鯛焼きでも買って帰ろうかなぐらいの余裕がある。だがしかし、今向かっているのはよりによって技術開発局だ。
「はぁ」
阿散井は溜息が尽きなかった。阿散井だけではない、技術開発局に出向く死神でスキップするような変人、狂人は技術開発局員たちぐらいだ。
そして目の前に立ちはだかるのは隊舎よりも近代的でご立派な門だ。白いそれが妙に圧迫感がある。きょろきょろと辺りを見渡すが、まぁ当たり前かのように門番などはいやしない。門の上で見下ろすギョロリとした目玉が来るものを監視しているのだろう。
「はぁ」
阿散井はもう一度溜息を吐き、意を決して目玉に向かって声を放った。
「すいませーん。六番隊の阿散井っすー。書類持ってきましたー」
ギョロリと目玉が動いた気がした。
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