03
ミオシティのおじさんのお家に来るのはひさしぶりだった。港町だからだろうか、潮の香りとともに優しい風が頬を撫でた。
「兄さん!」
「遅いぞ」
「母さんは?」
「まだだ」
するりとママの手が離れていった。もうママにはわたしなんて見えていない。ママはお家の奥に駆けて行った。
「ルカリオ、お前も行ってこい」
おじさんに言われたルカリオはチラリとわたしを見た。
「あぁ、それなら」
「うわっ!」
突然肩に掛かった重量感。
「フワンテ!」
「フワンテに任せて、な?」
ルカリオは頷くとママと同じように駆けて行った。
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