現実的に考えて
※本文中には性病にかんする偏った知識が盛り込まれております。不快に思われる方は閲覧をご遠慮ください。
◇脇役平凡主人公。
「気に入った。俺のモノになれ」
詳しい説明は割愛する。とりあえず簡単にまとめると、マリモな外見の編入生に、下半身ゆるゆるで有名な会長様がちゅーをぶちかまして殴られたあとに上記の台詞を告げたところだ。
ちなみにここは食堂で、腐男子な友人曰く、僕は巻き込まれ脇役の平凡ポジションらしい。
それは別にどうでもいいので、にやにやしながら編入生の幸田(こうだ)君に告白?した会長を眺め、僕は手に持っていた箸を置いた。
「僕はオススメしないよ」
「万里(ばんり)、なに言ってんだ?」
怒りマックスな幸田君だったが、突然話に加わってきた僕に混乱している様子だ。でも、ここは友人としてちゃんと忠告してあげなきゃ。
「だから、会長様のように下半身がゆるゆるな人は恋人としてお勧めしないって言ってるの」
「万里!人をそんな風に言っちゃだめなんだぞ!」
幸田君に庇って貰えたのが嬉しいのか、会長はまたにやにやとしまりのない笑みを浮かべた。
でも、僕は幸田君のことを考えた上で発言しているのだから、ちゃんと最後まで聞いてほしい。
「性病がうつってもいいの?」
「せ、性病?」
「だって、会長様は気に入った生徒を片っ端から食っちゃうことで有名なんだよ。実際に僕も、校舎裏の茂みで青姦中の会長様を目撃したことあるし。族の総長もやってるそうだから、たぶん外でも似たような感じなんだと思う。親衛隊員は、全員が定期的に病院で検査を受けてるから安心なんだけど……。普通は自覚症状でもない限り、検査なんて受けないだろうし。かなりの確率でもらっちゃってると思うんだ」
僕の言葉に、食堂はしーんと静まり返った。当の会長もなぜか顔が真っ青だ。
「性病は怖いよ。種類にもよるけど、その……種なしになっちゃう可能性もあるからね。まあ、最後まで添い遂げる気概があるんなら、種なし云々はそんなに重要じゃないと思うけど……。とりあえず、お試しにお付き合いするにしても、会長様には一度病院で検査を受けてもらってからにした方がいいと思うんだ。お節介かもしれないけど、幸田君のことが心配で……」
「そっか!心配してくれてありがとな!」
幸田君は声が大きくて、ちょっと空気が読めないけど、とってもいい子だと思う。もふもふの鬘っぽい手触りの髪を撫でたあと、僕はついでに食堂にいる生徒たちにも呼び掛けた。
「あの……そういうことなんで、会長様と性交渉をもった方は一度検査した方がいいと思いますよ?」
だって、ここには大企業の御曹司がごろごろしてるわけだから。性病をうつされた挙句に種なしなんて、笑えないと思う。
それを理由に後継ぎから外されることだってあるわけだし。言い訳しようにも、感染理由が理由だからねぇ……。
「それと、会長様は手遅れかもしれませんが……ちゃんと病院に行ってくださいね。今は養子なんて珍しくもありませんし、会長様ほど有能なら種なしを理由に後継ぎから除外されるなんてことないと思います。だから、心を強くもってくださいね」
にっこりと笑って、僕は会長の肩を叩いた。
それを合図に、我先にと食堂をあとにする生徒たちが続出する。会長と関係をもった生徒だけじゃなくて、その子とちょめちょめしちゃった子もいるだろうしね。
とりあえず、会長は崩れ落ちてないで早く病院に行った方がいいと思う。
後日談。会長は奇跡的に性病をうつされてはいなかったらしい。でも、それで懲りたのかセフレは切ったという噂だ。腐男子な友人が、「王道をぶった切るにも斜め上すぎるよ!」と爆笑していた。
それと、なぜか会長がよく僕の前に現れて、「セフレは切ったぞ!性病も患ってない!これでいいんだろう!俺様のモノになれ!」と言うようになった。僕と幸田君を間違えているのだろうか?
***END***
あとがき
俺様会長×脇役平凡。
脇役君は新聞部に所属しているので、会長の下半身のだらしなさを熟知していました。脇役君は天然なうえに、けっこうな鈍感です。会長はツンデレ(笑)
現実的に考えて、ありそうだなぁと。そんな思いから生まれた小話です。
※管理人は性病についての知識は皆無です。適当に書いておりますので、本気にしないでください。なお、性病に罹ってしまった方を批難するつもりもございません。
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