総隊長様の憂鬱
◇会話文。総隊長様と隊長さんの掛け合い。学園モノ。アンチではない。
「ねぇ、会長様のとこの隊長さん」
「なにかご用でしょうか、総隊長様」
「相談したいことがあるんだけど」
「……それは、親衛隊総会議の最中でなければいけないことなのでしょうか?まずは、編入生への対応を決めてしまいたいのですが」
「聞いてくれる人が多いと、いい解決案もでるんじゃないかな」
「(自重する気ねぇなこの人)では、手短にお願いします」
「うん。会長様にね、ムラッとするんだよ」
「……ええと、はい。そういう意味で会長様をお慕いしている者ならば、誰しも経験がある感情ではないかと」
「突っ込まれたいよりも、突っ込みたい方の“ムラッ”なんだけど」
「ビスクドールみたいな顔でなに言ってるんですか。っていうか、は?タチ?」
「偏見はよくないと思うな。僕だって、生物学上は男だよ」
「はぁ……まあ、そうですね。見た目は限りなく美少女ですが」
「会長様がね、執着している編入生君に邪険に扱われた時、ちょっとだけしょんぼりした顔をするんだ。それを見た瞬間、突っ込みたいなぁと。きゅんとしちゃった」
「……総隊長様は会長様より、その、小柄ですよ、ね?」
「こないだの身体測定の時は、百六十センチだったよ。一学期から一センチ伸びてた。二学期は二センチいくかな?」
「突っ込みたいんですか」
「うん。アンアン言わせたい」
「そんな恋する乙女みたいな顔で……って、倒れるなお前ら!しっかりしろ!傷はまだあさ……くもないが、頼むから俺を一人にするな!」
「あの雄ッパイを揉みしだいてみたいよね」
「はり倒されますよ」
「SMプレイだったら、どちらかというとSサイドの方がいいんだけど」
「会長様はどちらも拒否なさると思います」
「会長様って処女かなぁ」
「きっと鉄壁の処女ですよ。身長が百八十五センチもある、筋肉質の同性を掘りたいっていう強者は希少だと思います。というか、この学園では総隊長様だけだと思います」
「そう?風紀委員長や、体育委員会の委員長だったらいけるんじゃない?」
「まず、壮絶な乱闘になると思います」
「乱交?」
「違います。卑猥な聞き間違えをしないでください。その二人はありえませんよ。風紀委員長様はノンケで有名ですし、体育委員長様は年下の恋人がいるという話です」
「ふぅん。物知りだね」
「けっこう有名な話なんですけどね……それで、相談というのはそのことですか?」
「そう。どうやったら突っ込ませてもらえるかなぁって」
「諦めてください」
「拘束しなきゃ駄目かなぁ」
「副隊長、会長様の身辺警護を強化しろ。あとお前ら、総隊長様の命令でも会長様を拉致るんじゃないぞ」
「体から始まるお付き合いもありだよね」
「なしです。なしの方向でお願いします。というか、会長様の親衛隊長である俺の前で、堂々と犯罪発言は止めてください」
「君以外の子の前だったらいいの?」
「よくないです。まったくよくないです。そもそも、総隊長様の細腕で会長様をどうこうできるわけありませんよ。喧嘩も強いですし。よく風紀委員会に助っ人として呼ばれるくらいなんですから」
「あ、それなら大丈夫。僕、剣道、空手、柔道、合気道の有段者だから。会長様くらいだったら、片手で押さえ込めるよ。ちなみに風紀委員長とのとっくみあいは、全勝ちゅー」
「会長様逃げて、超逃げて!っていうか、なんでこの人、総隊長やってんの!」
***END***
◇あとがき
会長にガチで突っ込みたい総隊長様のお話でした(笑)。
でも、カップリングは会長×総隊長希望。突っ込みたいんだよー、と頑なに主張する美少女顔受け。会長は俺様溺愛攻めで。
編入生は会長の義理の弟で、再婚前の苗字で編入していたというオチです。兄弟仲は良好(むしろ会長がブラコン気味)で、総隊長様に「突っ込みたいんだけど、どうすればいいと思う?」と相談される。勘弁してください。
風紀委員長と総隊長は喧嘩仲間。
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