肉を切らせて骨を切る


◇会長×ゆるふわ親衛隊長、になるか?ある意味下ネタ注意。




 俺はとある学園の、生徒会会長様の親衛隊隊長をやっている。生徒会会長親衛隊隊長って長いよね。何度、舌を噛んだことか。「かいちょー」って伸ばすと、副隊長が「発音!」ってうるさいしさー。

 だいいち、俺が親衛隊に入ったのも副隊長な親友が、「一人じゃ嫌」っていうから一緒に入ってあげたのんだよ。それなのに、いつの間にか隊長になっちゃうし。

 確かに、会長様のことは尊敬してるよ。かっこいいし、勉強もできるし、スポーツ万能だし、お金持ちだし……神様って不公平だよね。親衛隊をセフレ扱いするのはどうかと思うけど。

 もちろん、お相手をするのは同意のある子だけだから、俺的には平和なんだけど……うん、平和だったんだよねぇ。

「こんばん、俺の部屋に来い」

「ええー……」

 まさかのお誘いをいただいちゃったよ。全力でお断りしたいけど、隊長である俺がお断りっていうのもなぁ。

 しかも、食堂の前だから人目があるし。会長様に恥をかかせるな!っていう副隊長の目が恐い。俺たち親友だよね?

 しかし、俺は慌てなかった。こんな時のために用意していたお断りの言葉があるじゃないか。ただし、それを口にするのはものすごく勇気がいるけど。

 頑張れ、俺。負けるな、俺!

「すみません、俺……ええと、僕はお腹が緩いんです」

「……は?」

「タチならまだしも、ネコは勘弁してください」

 よし、言い切った!もちろん、お腹が緩いのは嘘じゃない。胃痛には子供の頃から苦しめられている。

 ただ、みんなの前で暴露するのは恥ずかしかった。でも、夜のピンチに比べれば、なんてことはない!

 それに、どうせ会長とも寝てんだろ、と理不尽なことを言って迫ってくる奴らへの牽制にもなる。肉を切らせて骨を切る。まさに捨て身の戦法だ……!

 やり遂げた俺は、硬直している会長様と副隊長を置いて食堂に向かったのだった。今日は大好きなキムチ鍋にしよう。




 後日、俺は会長様から可愛らしい猫柄の腹巻きと、腹痛によく効くという漢方薬を貰った。「辛いものは控えろ」とのメッセージつき。

 え、これは体質改善してネコをやれってことなの?




***END***




◇あとがき

 お腹が緩いとね、あっちは絶対に不可能だよね、っていう話でした。

 ちなみに会長は主人公一筋です。セフレはいません。親衛隊の子たちを部屋に呼んで、恋愛の相談に乗って貰っているだけです。

 主人公を親衛隊に入れるよう副隊長に頼んだのもこの人。もちろん、牽制のためです。色々と暗躍している会長……でも、あんまり報われない。

 思いあまって、せめて体だけでも……!と思ったら、撃沈されました。

 主人公はチャラ男系のゆるふわ美人さんです。辛いの大好き。

 
※追記 「肉を切らせて骨を断つ」という表現もありますが、「肉を切らせて骨を切る」というのも間違いではありません。辞書で確認したので、間違いはないかと。


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