霞夜に案内された部屋は個室だった。七と九番組が出払っているため部屋が余っているらしい。今日一日限りなら、個室を使わせてもらえるのは有り難い。疲れが全身にきているためゆっくり休みたかったことと、この時代でどう生き抜いていけばいいか、それを考えたかったこともある。

「食事は別の女中に届けさせるわ。あと、湯殿は交代制。女優先ってことで私達女中が一番に入らせてもらってるの。次に幹部の皆さんが入って、最後に他の隊士さん達。でもほとんどの隊士さんは湯屋に行ってしまうんだけどね。リンちゃんはそうね……今日はお客様だから一番に入らせてもらえると思う」

今日は客、だが明日になれば処遇が決まる。当然男扱いされているのだから、最後に男勢と入らされることになるのだろう。

「分かってはいたけど……かなり不便だな」
「大丈夫! その辺は隙を見つけて私が何とかするわ。それが無理だったら湯屋に行けばいいから」

有り難いという思いと申し訳ないという思いがせめぎ合い、苦笑しかできなかった。

霞夜の言った通り、今日は客人だからと一番風呂をもらえた。食事も一人個室で済ませた。まだ自分の存在は他の隊士達に知らされていないのだろう。誰もリンと接触してこなかった。

「眠っ……」

綺麗に敷かれた布団の上に寝転び、明日からのことを考えてみる。ここから出ていけと言われたら、一体どこへ行けばいいのだろうか。行くところなどない、野垂れ死ぬだけだ。この先にある未来も、全ては明日の、新選組幹部達の判断で決まる。低い天井を見つめ、そっと瞳を閉じる。

そうして、夜は更けていった。

1 2 4 5 6 7 8



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -