小ネタ | ナノ


  元カノじゃないです今カノです


エースくんの恋人なお姉さまの話。救済じゃない

夢主さんはエースくんの恋人だったナースのお姉さまです。年上の綺麗なお姉さま。
ねえさんって慕ってくれてた可愛い弟分がいつのまにか恋人になっていて、男だったって思い知った感じの恋愛をした人です。

あの日、戦争には参加させてもらえず、手の届かないところでなにもかもを失くしてしまった、そういう人です。

しばらくして、どこかの平和な島に落ち着いて、なんとなく日々を過ごしていた。胸に空いた穴が少しづつ痛まなくなってきたところ。口説いてくる男もいて、ああ、この人と一緒になって、ここで平穏に終わるのもいいのかもな、なんて思ってた矢先に島に麦わらの一味がやってくるよ。

で、何だかんだ事件があってルフィが怪我したところに居合わせたから手当てしてあげた。散々話は聞いていたから、なんだか他人の気がしない。
「あー…、頼んだぞってことかしら」
エースが、そうなるように仕向けたのかもしれないなぁ、なんてお姉さんは呆れたように笑うんだ。そんなに私が誰かと一緒になるの、イヤだったの?って。

で、「ねぇ、麦わらのルフィ。私を連れて行って。ナースの仕事ならできるから、きっと役に立つわ」って、乗船を申し出たら受け入れられたという。懐ゆるすぎない?って笑っちゃった。

でもお姉さん、元白ひげのクルーだってことも、エースの恋人だってことも、誰にも話さないよ。だから、最初はなんか物凄く強いナースのお姉さんって認識されてた。

サンジくんが口説いてくるのを「ごめんなさいね、恋人がいるの」って躱してた。今でも恋人がいる、という話し方をするけれど、それが亡くした人の話だって、サンジくんとかロビンちゃんナミさんは気づいたかもね。
だけど、彼女が楽しそうに愛おしそうに『彼』の話をするから、恋バナしてたかもしれない。

元々はちゃめちゃな船にいたけど、ここはそれ以上ね!!ってお姉さん毎日びっくりしてる。感傷にひたる暇もないくらいで、毎日笑っていられるようになった。

そんなお姉さん、ドレスローザでサボくんに遭遇して「アンタ、どっかで見た顔なんだよなぁ」って首を傾げられてほしい。全部終わった後のタイミングで。

サボくん、エースくんのこといっぱい調べたから、恋人のお姉さんの情報も持ってたんだね。お姉さんの写真はほとんど出回っていないから、なんとなく顔を知っている、みたいな感じになった。

「あ、思い出した。エースの元カノだ」
「元カノじゃないわよ、今カノよ」
サボくん、エースくんがもういないから、元カノっていう形容をしたんだけど、お姉さん的には気に入らなかったらしいよ。
「どうやって誤魔化そうかと思ってたのに、変な形容するから訂正しちゃったじゃないのよ」
お姉さん的にはあんまり明かす気は無かったんだよ、そこんとこ。だってあまりにも重たいじゃないですか、死んだ兄貴の恋人なんて存在。背負わせたくなかったから、って。
でも、サボくんが狙ってか狙わずか『元カノ』とか言うからうっかり訂正入れちゃった。

「そりゃ悪かった。…ありがとな、エースのこと大事にしてくれて」
「可愛い可愛い私の男よ。当然じゃない」なんてやりとりがあったかもしれない。

だから、ルフィのこと弟みたいに扱ってたのね、ってロビンちゃんに笑われるんだ。だって本当に弟なんだもの仕方ないじゃない、なんて肩をすくめるんだ。

とりあえず、そんなエースくんの今カノお姉さんが愛しい思い出を抱えて麦わらの一味で過ごす話。

胸に空いた穴は塞がらないけれど、そこに新しい大切なものがたくさんたくさん溜まっていくんだ。


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