それから、それから
ネタバレ含む
「…一緒にいてくれ」
頼む、と懇願するその声は少し震えていた。だから、私は傷だけのマルコを抱きしめる。
「いいわよ。そばにいてあげる」
お互いに死にそうなくらい傷だらけで、それなのに手に入れたものは何もない。あまりにも多くを失った。だからこそ、この愛しい男だけは失くしたくない。
「最後まで、ずっと一緒にいましょうね」
「…ああ」
まるでプロポーズみたいに囁き合って、私たちは少しだけ泣いた。
からはじまる(?)魔女さんとマルコのそれからの話。戦争が終わった後の話。本編では頂上戦争回避予定なので、ある種のパラレル。
マルコが一緒にいてくれと言うから、魔女さんはその隣で生きて行くことを決めた。言われなくてもそうするつもりだったけど。
そうして二人で、あの優しい島を守って暮らすようになるんだよ。
島の人たちには夫婦だと思われてる。否定しないしだいたいあってる。あの戦争がなければ今頃式あげてた。
魔法使いの夫婦、なんて言われてるかもしれない。マルコのは能力なんだけどもね。
あと、実は魔女さんが大きな怪我してて、マルコが毎日のように再生の炎分けてるとか、そういうのいいなって。日課のように毎晩、魔女さんの傷跡を炎を纏った手のひらでなぞるんだ。その度に、いろんなことを思い出したりしてる。
「だいぶ良くなってきたと思わない?」
「そうだねい。跡が残らねぇといいんだが」
なんて、魔女さんの白い肌をなぞりながら話してる。魔法でも、魔法薬でもすぐには治らないないレベルの怪我だったんだね。
怪我をしているからあまり無理はできないけど、二人でわりと平和に暮らしてる。
「…ここ、穏やかでいいところね」
「ああ。オヤジが守った島だから、当然だよい」
なんて、午後の柔い日差しの中で、今までにないくらい平和な日々を過ごしている。満ち足りているようで、どうしてかいつも寂しい。そんな日々を。
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