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  王女は死を恐れない


 どっかの国の王女様(12才)とサボくんの話。


 王女様のお国は隣国と戦争中。しかも、その国が海賊と癒着してるから勝ち目がない。政府も見ないふり。
 王族貴族は疲弊していく国をあっさりと見捨てて国外逃亡。それでも最後まで残ったのが12歳の小さな王女様だった。

 民のため、国のためと必死になって指揮をとる王女様は希望の象徴。だけど、敵国はそれが面白くない。だから、戦争を終わらせる条件として提示されたのが王女の身柄とその首だった。
 もちろん誰もが反対する中で王女様はその条件を呑んだ。もうそれ以外に手が残されていないことを知っていたから。破棄される可能性のある約束でも、賭けるしかなかった。

 で、そんな状況を知って助太刀してくれるのが革命軍。でも国に到着して詳しい状況を知る頃には王女さまは敵国の牢の中。公開処刑までは時間がない。だからサボくんが行ってくるってだけ言って単身で乗り込んじゃった。

 てっきり牢屋で泣いてると思っていた王女様は取り乱しもせず、ただ静かに目を閉じていた。凛とした姿は幼いながらにまさに王。
 で、そこにサボくんが来るから流石に驚いた。状況を説明して、とにかく逃げるぞってサボくんが手を差し出すけれど、王女様は首を横に振った。

「国民はもう限界だ。私の首一つで稼げる時間がある。その間に国を立て直してくれないか。あとを頼む」
と、そう言った王女様はその小さな背中に重すぎるものを背負っていた。サボくんは彼女を死なせるには惜しいと思った。
 で、「俺はお前の命を犠牲にして手に入れる一年より、お前が築くこれからの十年が見たい」だから、行くぞってもう一回手を差し出してくれていい。

 そしたら王女様はほんの少し瞳に涙を浮かべて手を取ってくれた。それが全く子供らしくなくて少し切ないサボくん。確かに彼女は勇敢だけど、子供らしく死にたくないと泣いていいのに。

 それから、戦争には勝って王女様は正式に国主になったよ。女王陛下だ。


「…で、何故にまだいる?」
「だって言ったろ、お前の築くこれからが見たいって」
 とか言いながらちょいちょい遊びに来てくれるサボくん。参謀総長って暇なのか。

 でも、そのうちサボくんの前では子供らしい顔が出来るようになる王女様とか可愛いと思うんだ。

 そんな子供らしくない王女とサボくんのほのぼのしたその後とか書きたい。



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