・女主はローの恋人
・妊娠ネタにつきご注意
「ソフィア、お前は出るな」
「なんで!」
いいから船に残れ、と鼻先に指を突きつけられて仕方なく黙る。理由さえ教えてくれないなんて、横暴な。
「理由なら後で説明してやる。戦闘は禁止、部屋で大人しくしてろ。船長命令だ」
「…アイアイ、キャプテン」
不満だけれど『船長命令』なら仕方ない。本当に横暴だ。
私が渋々ながらも頷いたのを確認したローは能力を使って敵船へ。交換されたらしい酒樽が音を立てて甲板に落ちた。帰ってくる時に必要だろうから、放置しておこう。
「…寝てよ」
いつまでもここに居てはローに怒られるし、かと言って外の喧騒を聞いていれば戦いたくなってしまうのは目に見えている。
毛布を被って寝てしまおう。最近、やたら眠いからちょうどいい。
ーーーーー
まだ眠いけれど、どうにか起きて時計を見る。ー時間くらい寝てたらしい。外からは、クルーたちの騒ぐ声が聞こえる。戦闘は終わったようだ。多分、戦利品を回収してるんだろう。
「とりあえず、甲板かな」
横暴な命令の理由を聞くためにローを探す。船室から甲板にでれば、その姿はすぐに見つかった。あれこれと戦利品を運ぶクルーに支持を飛ばしている。
「ロー」
「ああ、起きたのかソフィア」
ええ、と頷いて歩み寄れば、さりげなく手を腰にまわされる。そのままくびれをなぞる手を叩き落として一歩離れれば、肩をすくめられた。
まったく、いたずらが過ぎる。
「で、何で私に戦闘禁止令なんて出したの?」
「当たり前だろ、妊婦に戦闘させるほど鬼畜じゃねぇ」
…待って、誰が妊婦だって? 何言ってるの。
思考が追いつかない私が面白いのか、ローはくくくっと笑う。笑い事じゃないし、なんで私の体についてローのが詳しいの。あと、お前も当事者だろう、父親。
「お前、生理きてないだろ。予定日から一週間過ぎてる」
「待って、なんで私の生理周期知ってるの」
「恋人の生理周期くらい把握してる。俺は医者だぞ」
「医者関係ないと思う」
ドヤ顔で何言ってんのこいつは。
確かに生理は来てないけど、来てないけど! ただの不順だと思ってた。
…っていうか、生理周期把握してるなら避妊できたんじゃないのか。
「ねぇ、どうなの」
「狙ったが、文句あるか」
駄目だ、何を言っても意味がない。海賊で妊婦とか、足手まといにしかならない。一体どうしたらいいの。いっそ船を降りるべき?
いや、そもそも妊娠したと決まったわけじゃない。検査をしたわけじゃないし、生理が来てないだけかもしれない。きっとそうだ。
「医者の言うことは信じるもんだぞ。不満だってんなら、次の島で検査薬でも買えばいい。病院に行ってもいいぞ」
「…そうする」
「まぁ、結果は陽性だろうがな」
ローの言葉通りの結果に私が悲鳴をあげたのは、次の日のことである。
待って、なんで!
お前と家族になりたかったから、なんて珍しく照れた顔でローは言った。
…せいぜい大事にしてもらうから覚悟しろ馬鹿
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